苫小牧 三星 カナダ産ハスカップ初輸入 道産品年々減少安定供給へ
苫小牧市糸井のパン菓子製造・三星は、良質なハスカップを安定して確保しようと、カナダ産を初めて輸入した。果実不足で販売を休止した商品の復刻や、新商品の開発に活用する方針で、「よいとまけ」などの看板商品は今後も道産のみを使う。6月末まで輸入ハスカップの冷凍パックやジャムを安価で販売しており、同社は「道産の実と遜色ない。ぜひお試しを」とアピールしている。
お試し記念価格で販売の輸入ハスカップジャム
カナダ・ノバスコシア州にあるハスカップハイランド社から今年2月、冷凍ハスカップ約20トンを海路で直輸入した。農場では北海道で厳選した親木から木を増やし、無農薬栽培しているといい、道産と比べて大粒で、甘みが強く、酸味が少ないのが特徴。日本は手摘みで収穫するが、大規模農場のカナダでは機械で収穫し、供給量も比較的大量で安定しているという。
三星が海外産ハスカップを輸入するのは、1898(明治31)年の創業以来初めて。道産ハスカップの収穫量が年々減り、とりわけ不作の年は確保に苦労することが理由。同社はこれまで美唄産を中心に仕入れ、苫小牧市植苗に自社農園も構えるなど、道産にこだわって年間約20トンをパンや菓子に使っているが、佐藤巧企画広報課課長(51)は「数年先を見据えると、ハスカップが足りなくなる。苦渋の決断」と話す。
2022年秋以降、カナダ政府札幌通商事務所などを通して、カナダ産ハスカップについて理解を深め、昨年7月に現地視察して直輸入を決めた。カナダを訪れた営業外販部主任の上田陽正さん(52)は「農場の規模が全く違った」と振り返り「味は十分、日本になじめる。見た目は一回りも、二回りも大きく、甘くて子どもでも食べやすい」と胸を張る。氷点下25度で急速冷凍した新鮮なハスカップ約20トンを輸入し、糸井本社の工場にある大型冷蔵庫を改修して受け入れた。
このほど輸入した実でハスカップジャムを造った。瓶1本435グラムを価格1700円に設定した上、6月末まで「お試し記念価格」として1500円で販売。道産ジャムの2000円と比べて格安で、店頭に並べるたび飛ぶように売れる。佐藤さんは「もともとの甘みが強いため、実の割合も増えて濃厚。販売からまだ1カ月もたたないが、すでに1000本以上売れた」と手応え。冷凍の実(500グラム)も道産は2100円のところ、6月末まで1500円で売っている。
さらに輸入ハスカップのロールケーキやシュークリームも試験的に売り、「ハスカップが身近なものになるよう商品展開したい」と意欲。6月にも新商品を登場させる考えで、「ハスカップ商品はピークで15アイテムあったが、使う量が限られるため今は10点を切っていた。泣く泣くやめた商品の復刻にも活用し、『よいとまけ』や『ゆのみのんの』など看板商品はこれまで通り道産のみを使いたい」と話している。
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