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紀伊民報社

農家レストラン開店へ 〝孫ターン〟の大学院生

祖母の太田千代子さんと苗植えをする前芝一輝さん(串本町須江で)

 和歌山県串本町須江で、和歌山大学大学院2年の前芝一輝さん(24)が、自家製の無農薬野菜を使った「農家レストラン」を開業する。和歌山市出身だが、祖父母が同町で暮らす〝孫ターン〟。「地域資源を生かしてふるさとの活性化に貢献したい」と意気込んでいる。

 大学院で過疎化や後継者不足、空き家の増加など地方の課題を学んでいくうち、串本町で農業を継続するのが難しくなっていた母方の祖父母が頭に浮かんだ。「社会の課題は自分の課題」と気付いた。

 昨年度1年間休学し、祖父母宅に住み込んで、農業に打ち込んだ。農業は子ども時代に手伝ったことがある程度だったが、祖父母の太田久さん(79)と千代子さん(78)を「先生」に、くわの扱いも「様になってきた」という。  農地は10アール。オクラやスイカ、ダイコン、ジャガイモ、ハクサイ、トマト、ナス、ワラビ、ミカン、梅、柿など、葉ものから根菜、山菜、果樹まで30種以上を少量ずつ栽培している。7アールで始めたところ、地域の高齢者から耕作放棄地の活用を頼まれるなどして、栽培面積を増やした。  ただ、農作業には慣れてきたものの、農業だけで生活する難しさも実感した。「少量多品目の安全野菜に加え、串本には新鮮な魚、ジビエもある。これを生かして起業できないか」。そこで、かつて曽祖母が民宿を営んでいた空き家をレストランにすることを思いついた。

 メニューは旬の素材に応じて作るため、毎週替わる。開業を前に洋風、和風の料理を研究中。祖母から教わった家庭料理もメニューに加える。菓子作りは得意で、スイーツなども提供したいという。  6月から元民宿の改修が本格化する。人手の確保にも工夫した。農業や起業、古い建物を大規模改修して新しい価値を持たせるリノベーションに関心がある学生を募り、約20人の応募があった。学生も起業の過程を共有できるため、双方に利点がある。  農家レストランは9月に開業予定。当面、週末や祝日限定で営業する。前芝さんは「まずは小さく始める。観光客をターゲットに、田舎の良さを知ってもらいたい。やりたいことは、あふれ出てくるほどある。軌道に乗れば農家民泊なども展開したい」と話している。

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