北山弁、ひゃんがら集まりました 全国唯一飛び地の村で方言かるた
高齢化が進む中、北山弁を後世に残したいと制作した「北山弁かるた」(和歌山県北山村で)
北山弁、ひゃんがら(たくさん)集まりました―。全国唯一の飛び地の自治体・和歌山県北山村で、村民の協力で集まった約300の方言の中から選んだ46首の「北山弁かるた」が完成した。企画した村教育委員会は「方言は村の文化。高齢化が進む中、今残しておく必要がある」と話しており、引き続き辞書作りにも取り組む。
北山村の人口は約400人で、65歳以上の高齢者が4割余りを占めている。
村教委によると「北山川の筏(いかだ)流し技術」の林業遺産認定など、村の文化を後世に残す取り組みに力を入れており、この活動もその一環。昨年9月、村公民館の活動として「北山弁を残そうの会」を初開催し、60~80代ぐらいの村民約20人が集まって北山弁を出し合った。その後も、取り組みを知った村民から方言を書いたメモが続々と寄せられ、最終的に集まった北山弁は300ほどに上った。
この方言を事務局で五十音順に整理し、10月に第2回を開催。かるたにふさわしい言葉を皆で選び出し、読み札の文章のアイデアも考えた。絵札については、絵心のある杉浦梨恵さん(北山村大沼)にイラストを描いてもらった。事務局で文章を整えたり色づけをしたりした上で、絵札と読み札をシール用紙に印刷し、かるた用の無地の台紙に貼り付けて完成させた。
お披露目のかるた大会が1月にあり、子どもからお年寄りまで約30人が来場。
「あいべあいべ(歩け歩け)ここまでおいで」「来てたもれ(ください)年一度のじゃばら収穫祭」「めめず(みみず)がひゃんがら土の中」など、地域色豊かな方言がちりばめられたかるたに挑戦し、参加者からは「懐かしいし、面白い」「このカルタが欲しい」などと大好評だったという。
発案者の一人という村教委職員の東小百合さん(59)は「亡くなった父がよく北山弁を使っていたので、顔が浮かぶ気がして取り組むのが楽しかった。みんなで遊んでほしい」と笑顔。泉清久教育長も「北山弁かるたを楽しみながら郷土愛を育むことができれば。村から出て行った人も盆や正月などに帰ってきた時にこのかるたに触れ、ふるさとへの愛を再確認してくれたらうれしい」と話している。
北山弁かるたは現在4セット作り、うち二つは子どもたちに使ってほしいと小学校と保育園に贈った。残りは希望者に貸し出せるようにしている。お年寄りが楽しみやすいようにサイズの大きなものも作り、村社会福祉協議会に提供する予定。
引き続いて取り組む北山弁辞書は方言の使用例や意味などを紹介するもので、年内の完成を目指すという。
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