「白惣を世界ブランドに」 豊川でバット製造
普段は陽の目を浴びないが、プロの一流選手たちが使う木製バットを、スポーツメーカーに提供する老舗企業が豊川市牛久保町に本社がある。その名も「白惣」。小学生からプロ野球選手向けまで年間10万のバットを28人で製造し、十数社のスポーツメーカーと契約する。最近は製造と卸売だけでなく、自社ブランド展開にも力を入れる。「白惣を世界ブランドに」と意気込む岩瀬淳一郎社長を取材した。
「世界の白惣と言われたい」と語る岩瀬社長=西塚3の工場で
1954年に父が「白惣木工製作所」を創業したのがはじまり。岩瀬社長は法政大学卒業後、カメラ製造会社の営業職などを経て、69年に入社した。最初は工場でバット製造を学んだり、取り引き先を回って木を見る力を養ったりした。「弟が先に入社していたし、野球が嫌いで社長になるとは考えていなかった」という。しかし、その弟が断ったことから75年、「なりゆきで」社長に就任した。
入社当時は、野球人口が拡大したことや工作機械の導入で会社は好調。ピークには今の20倍の200万本を製造していたという。しかし、74年に高校野球で、79年には社会人野球で金属バットが主流となり、徐々に生産を減らしていった。近年では、アメリカ産のバットが入ってきたり、主材料の「アオダモ」が北海道で取れなくなったりと逆風が吹いている。
アメリカ進出 高まる知名度
「このままだと下降線をたどる」と危機感を感じた岩瀬社長は、アメリカを拠点に「白惣」の認知度向上とブランド化に着手した。サンティエゴに作った販売会社「白惣バット」と連携。現地では材料の「ホオノキ」がとれないことに着目してノックバットの販売を始めた。新型コロナウイルス禍もあったが、見本市への出展やインターネット販売などで少しずつ認知度が高まり、オーストラリアや韓国からも問い合わせがあるという。
今年からは日本でも本格的にバットの販売を始める。「これまで付き合いのあったスポーツメーカーとは競合になるが、新たな挑戦」と岩瀬社長。「世界のバット屋になりたい」と笑う。
バットを削る職人
関連記事
”ポカポカ”大寒、凍らない諏訪湖 「御神渡り」湖面観察期間は折り返し 長野県
1年のうちで最も寒い頃とされる「大寒」の20日、長野県諏訪市の最低気温は氷点下0・4度にとどまり、3月下旬並みの暖かな朝となった。諏訪湖の御神渡り(御渡り)の判定と神事をつかさどる諏訪市小和田...
湯煙の中、かるた争奪戦 本宮の仙人風呂
和歌山県田辺市本宮町川湯にある河原に設けられた大露天風呂「仙人風呂」で19日、新春恒例のかるた大会が開かれた。4人一組の17チームが参加し、水しぶきを上げながら湯船に浮かんだ木製の札を取り合っ...
熱々どんがら汁と地酒に舌鼓 好天の下 鶴岡・日本海寒鱈まつり盛況
鶴岡市の「日本海寒鱈(かんだら)まつり」が19日、鶴岡銀座通り特設会場で行われた。この日はすっきりと晴れ渡る好天に恵まれ、例年以上に大勢の家族連れや観光客で会場は大混雑。用意した約5000食が飛ぶよう...
全国ドトールのBGMに十勝のバイオリニスト和光さんの楽曲
十勝を拠点に活動するバイオリニスト和光憂人さん(34)が初めて作曲した「Light of my life」(Wako&Nagao)が、全国のドトールコーヒーショップ店内のBGMに採用された。午前...