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にぎやかにムチモレ踊り 大和村湯湾釜の伝統行事 家内安全など祈願

各家庭の庭先で六調を踊り、厄よけや家内安全を祈願する湯湾釜集落の「ムチモレ踊り」=28日、鹿児島県大和村

 旧暦10月16日に当たる28日、鹿児島県大和村の湯湾釜集落(永野豊区長、43世帯94人)で伝統行事「ムチモレ踊り」が行われた。新型コロナウイルスの影響もあり、集落全体として行ったのは2019年以来。風呂敷で顔を覆って女装した男性の踊り手たちが、歌い手と共に各家庭の庭先を訪れ、「ムチモロター」「ヨイヤー」と家内安全や豊作祈願をして回った。

 湯湾釜集落によると、ムチモレ踊りの起源は350~400年前。かつて集落で大火が起きた際、水不足のために田んぼの泥で消火したことから、水の大切さを伝えるために始まった踊りとされている。

 踊り手が顔を布で覆うのは大火でやけどをした顔を隠すため、あるいは炎から顔を守るためなど諸説ある。昨年は青年団が自主的に規模を縮小して行っており、通常通りの開催となったのは4年ぶり。

 三味線や太鼓を抱えた歌い手と、女装した踊り手は午後7時に公民館を出発。月明りの中、「道唄」を歌いながら各家の庭先を回り、家主がカシャ餅(よもぎ餅)を献上すると、区長が「ムチモロター」と歓声を上げ、踊り手たちは「ヨイヤー」と六調で一層盛り上がった。

 家主の蔵秀生さん(67)は「しきたりなどなく、自由に楽しめる湯湾釜の行事。来てくれてありがたい」と笑顔。つえをついて歌い手に参加した蔵久子さん(90)は「こんなに楽しい夜はない。元気になる」と楽しんでいた。

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