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伐採木の炭で雑草抑制 木高研と国交省能代が共同研究

米代川河川敷の伐採木を材料にした木炭を地中に埋め、雑草の生え方を調べる2年目の試験がスタート

 県立大木材高度加工研究所(木高研、能代市)と国土交通省能代河川国道事務所が、米代川河川敷で伐採した樹木で木炭を製造し、その有効利用を考える共同研究を進めている。昨年秋に木炭を地中に埋めたところ、雑草の生育速度が、埋めていない場所に比べ明らかに遅かったとし、再現性があるかなどを確かめる2年目の実証試験を29日にスタートさせた。研究を担当する木高研の栗本康司教授は「樹木の木炭化は大気中の二酸化炭素(CO2)削減にも貢献する。生育の抑制効果を、道路脇の除草経費削減などにつなげることができれば」としている。

 両機関は従来から、県北地区の国道7号や101号、秋田自動車道を「のしろ白神の道」として歴史と文化の薫る風景街道に育てていこうと組織した「のしろ白神ネットワーク」の取り組みで連携。その過程で、米代川河川敷に繁茂し、河川管理上の支障になっているとして伐採されるヤナギやオニグルミなどの樹木の有効活用が、一部まき用として住民に無償提供されているのにとどまっているのが話題になった。
 木高研では、従来から木炭利用を研究している栗本教授と同ネットワーク事務局の渡辺千明准教授が中心となり、能代河川国道事務所からまきにならない長さ5㌢以下の材や枝を無償でもらい受け昨年10月、河川敷に設置した簡易製炭器で約4立方㍍の雑木を燃やし、47㌔の炭を製造。木炭はアルカリ度が高く、土壌に含めると植物の生育を抑制する効果が知られていることから、同年11月、能代河川国道事務所能代国道維持出張所の協力を得て同市鰄渕の同事務所門扉前の緑地帯を深さ25㌢に掘り下げ、全量を埋設した。
 今年10月まで観察を続けたところ、木炭を埋めた場所とそうでない場所に生えた雑草は最終的に同じ状態になったが、春先から夏にかけては木炭を埋めた場所の方が雑草の生育速度が明らかに遅く、雑草の密度も薄かったという。栗本教授は同時に、製炭した47㌔の木炭に「固定」されたCO2の量は154㌔と推定、「日本の温室効果ガスの総排出量(約12億㌧)から考えればごく微量ながら、大気中への放出を防ぐことができた」と振り返る。
 一方で10月までの実験で生育抑制のメカニズムまでは解明できなかったほか、抑制が偶然ではないことも証明するため、実験の継続を決定。10月初旬、市内の米代川河川敷で伐採した15〜20立方㍍のヤナギなどを再び燃やし、約200㌔、CO2に換算して約580㌔の木炭を作った。
 29日に始まった新たな実証試験は報道機関に公開され、栗本教授、能代国道維持出張所の澤畑尚也出張所長らで、能代河川国道事務所敷地内東側に木炭を埋設。2年目は埋設する木炭の量を深さ10㌢、20㌢、30㌢の3段階とし、雑草の生え方の違いも確かめる。
 両機関は、木炭の植物生育抑制効果が確認されれば、管理する国道の道路脇やのり面の地中に埋設していくことも構想。澤畑出張所長は「年2~3回実施している除草作業が年1回に減れば、大きなコスト縮減になる」と今後の研究成果に期待を寄せる。
 栗本教授は「植物の成長を良くするための研究は数多いが、成長の抑制を目指す公的な研究はあまり例がない」とした上で、「能代は炭の材料が入手しやすく、炭焼き場所と炭の活用場所が近接していて移動エネルギーが少なくて済むといった条件もそろう。こうした地域特性を生かしながら、CO2固定の仕組みづくりができれば」と語った。

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