「元気になれる店」を目指して杉本浩美さん（左）が開く「ベイキングビーナス」と経営をサポートする永野崇さん

長野県茅野市宮川の大型商業施設「メリーパーク」を運営した事業協同組合の理事長や衣料品店経営などを経験し、現在は不動産賃貸業を営む杉本浩美さん（６０）が新たに飲食業に挑戦する。１１日に同施設近くに開店する商業施設「メリーガーデン」でパンケーキカフェ店「ベイキングビーナス」を経営する。「笑顔と元気が集まる場所。お客さんが元気になれる店を目指したい」と意気込んでいる。

杉本さんは父親の急逝で衣料品の会社経営と組合の理事長を継承。その後、時代の変化に対応し、組合の解散、施設の買い取りと運営、衣料品店を閉じて不動産賃貸業に経営を絞るなど数々の決断を下し、困難を乗り越えてきた。衣料品店は杉本さんの持ち前の明るさと熱意に引き寄せられるように常連客が集まり、おしゃべりが絶えない元気な店だったが、将来を見据える中で決めた閉店だった。

「大好きだったお客さまと接すること」ができなくなり、寂しさを感じていた杉本さんの頭にふと浮かんだのが以前、視察先の沖縄で出合ったパンケーキの店だった。

笑顔が集まる場所をパンケーキカフェで実現しようと決めた杉本さんは知人の助言を参考に松本市の「ナカマチカフェ」を訪れ、同店の雰囲気に触れ、目指したい店のかたちが定まった。何度も通い、ようやく実現した同店の運営会社社長の永野崇さん（３８）との面会で思いの丈をぶつけた。熱い気持ちに触れた永野さんは新店舗を伴走型でサポートすることを決断。発想や哲学を「ベイキングビーナス」に注ぎ込んだ。

「メリーガーデン」は鉄骨２階建てで延べ床面積は約５００平方メートル。このうち、「ベイキングビーナス」は約１７０平方メートル。テラス席６席を含む全５２席。南国の雰囲気漂う空間で「ナカマチカフェ」提供のレシピを生かしたパンケーキやカフェが楽しめる。杉本さんは新たなスタートラインに立ち「ハラハラ、ドキドキとワクワク感が混在しているが、これからがとても楽しみ」と笑顔を浮かべていた。