「まるでビルみたい」 過去最大クルーズ船が初寄港 奄美大島名瀬港

名瀬港に初寄港したクルーズ船「ノルウェージャン・ジュエル」=26日午後、鹿児島県奄美市名瀬
鹿児島県奄美市の名瀬港観光船バースに26日、過去最大となるクルーズ船「ノルウェージャン・ジュエル」(9万3502トン、バハマ船籍)が初寄港した。乗客約2300人、乗組員約1000人。全長294メートルの大きな船を一目見ようと多くの地域住民が訪れ、午後7時すぎの出港まで一帯はにぎわった。
アメリカに本社を置くノルウェージャンクルーズラインの所有船。複数のレストランやバー、大型プール、シアターなどを備える。東京出発後、11日間で大阪、広島、沖縄などを巡り台湾を目指す。乗客は米国籍を中心にスペイン、中国、インド、シンガポールなど。
午前11時の入港後、名瀬港の臨時観光案内所やタクシー受付には次々と乗客が訪れ、市職員らも地図を手に懸命に対応。バス8台が島内観光に出発したほか、レンタカーやタクシーの利用者も見られたが、多くの乗客は移動手段を得られず、徒歩で市街地へ向かった。

さまざまな国籍の乗客でにぎわう名瀬港の観光船バース=26日
大型船の入港で中心市街地もにぎわった。外国人が行き交う様子を「名瀬郵便局前が、渋谷のスクランブル交差点のようだった」と語る人も。市内の大手スーパーやドラッグストアでは消費税免税にも対応した。港の物産店も好評で、出店した女性は「まるで海外に来たみたいで楽しい」と笑顔。見学に訪れた親子は「ビルが移動してきたみたい」と船体を見上げた。
一方、「経済効果は不透明」として大型船の寄港を懸念する向きも。「奄美が目指す観光イメージとのバランスが大切だ」とする声も聞かれた。
歓迎セレモニーのため同船を訪れていた安田壮平市長は、大型船の寄港について「奄美を寄港地に選んでいただき、ありがたく思う。今回の訪問を機に再び島を訪れてもらえたら。一方で地元の受け入れにも、人手や車不足など課題も残る。官民連携し、課題を一つずつ改善できるよう取り組んでいきたい」と話した。
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