盗難被害の文殊菩薩坐像の台座復元、興隆寺【山口】

2001年の盗難で行方が分からなくなっていた山口市大内氷上5丁目の興隆寺(市原修俊住職)にある文殊菩薩坐像の台座の復元が完了し、23日に開眼供養が行われた。台座を木彫りした山口大教育学部の上原一明教授(57)や彩色を施した宇部市厚東棚井の日本画家で国指定選定保存技術保持者の馬場良治さん(74)、地域住民計30人が参加した。
同寺釈迦(しゃか)堂内の釈迦如来座像の左右に控える普賢、文殊の両菩薩坐像と文殊菩薩の台座が盗難に遭った。犯人は捕まったが、文殊菩薩坐像の台座の上部「獅子台座」と土台の「岩座」だけが戻らず、市原住職(78)が木の仮台座を用いて安置していた。
その話を聞いた上原教授が同僚らに呼び掛け、2021年4月に台座復元プロジェクトを発足。彫刻を専門とする上原教授が普賢菩薩坐像や文殊菩薩坐像の台座の写真を参考に粘土原型を制作。調査を進めると、台座が1700年代にトガの木で作られていたことが判明。マツの木を代用して木組みを作り、上原教授が22年3月に台座の木彫りを完成させた。
その後、馬場さんの自宅兼アトリエ地神舎で、同大による彩色の分析成果と当時の技法を踏まえ、再現に着手。顔料の質を左右する湿度の関係もあり、中断を挟みつつ作業が先月、終了した。
式では市原住職が「多くの地域住民も待ちわびていたが、何より文殊菩薩様が完成を喜んでいる」とあいさつ。上原教授は「さまざまな人の協力で復元できた」と感謝。馬場さんは「参考にした普賢菩薩坐像の台座の青色が興味深い。1700年代に世界で生まれ、日本では葛飾北斎や歌川広重の日本画に見られる有機顔料のプルシアンブルー(紺青)が使われている」と解説した。
毎月1、15の両日午前8時半~午後5時に一般公開する。
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