五百羅漢像130体修復終える 善寳寺 531体安置 プロジェクト8年目全体の4分の1
鶴岡市下川の善寳寺・五百羅漢堂で、安置されている羅漢像の修復が進められている。約160年の歳月で傷んだ仏像を後世に残そうと2015年に始まった。今年で8年目。今のところ全531体中、130体の修復が終わった。担当する東北芸術工科大学・文化財保存修復研究センターの笹岡直美准教授(48)は「今後も(東北芸工大の)学生と共に貴重な羅漢像の修復を慎重に進め当時の面影を今に伝えたい」と話している。

公開された修復作業。手掛けているのは四天王の中の一体「広目天(こうもくてん)」
善寳寺境内にある五百羅漢堂は1855(安政2)年に建立した。仏像は北前船で財を築いた豪商が寄進したもので、表情やポーズまで同じものは一つもない。北前航路の繁栄を伝える貴重な文化遺産に位置付けられている。
かつて「亡くなった人の面影をしのぶ五百羅漢」とうたわれたように、写真のない時代は五百体以上の中から死亡した身内に似た顔を見つけて手を合わせたと伝えられる。堂の正面に「釈迦(しゃか)>三尊」と「十大弟子」がまつられ、柱の上には「風神雷神」、左右の段には東西南北を守る「四天王」が安置されている。
修復プロジェクトは「龍澤山善寳寺奉賛会」(会長・新田嘉一善寳寺最高顧問)が東北芸工大と業務委託契約を結んでスタートした。当時、不明だった作者は京都の仏師「畑次郎右衛門」と仏像に記された「銘文」から分かった。すべて木造で、スギなどを材質に「寄木づくり」で組み立てられている。長い年月が経過し、ほこりがたまったり、虫に喰われて手足が朽ちた仏像も。プロジェクトチームは「現状修復」という手法で仕上げている。
コロナ禍以降、中止となっていた修復作業の特別公開が15日に現地で行われ市民ら約40人が参加。筆を使って仏像の肩にたまったほこりを取り除く作業を間近に見学した。
笹岡准教授は「まだ400体を残し進捗(しんちょく)状況は全体の4分の1だが、羅漢堂正面の『釈迦三尊』や『十大弟子』、西側にある仏像の修復を無事に終えることができた。損傷程度は仏像によって差はあるが、今後も現状修復を進めて歴史の重みと風格を取り戻したい」と語った。今のところ羅漢像は2025年度まで54体(計184体)の修復を終わらせる予定。

修復の一例。左が修復前で右が修復後
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