今季シシャモ漁休漁 資源回復を優先 記録的不漁続き 鵡川漁協
「鵡川ししゃも」の地域ブランドで知られるむかわ町の鵡川漁業協同組合は5日、今季のシシャモ漁について操業しないことを決定した。8月下旬から9月上旬に行った調査で資源量が少なかったことや、ここ数年記録的な不漁が続いていたことを踏まえ、資源回復を優先させる。休漁は1991~94年以来29年ぶり。
近隣の苫小牧漁協、ひだか漁協(新ひだか町)と足並みをそろえた措置で、3漁協でつくる「えりも以西海域ししゃも漁業振興協議会」の会議で同日決めた。
むかわ町のシシャモ漁は近年、2017年の72トンをピークに著しく減少。20年は3トン、21年は1・4トンと落ち込み続け、昨年は64キロと過去最低を大幅に更新した。海水温の上昇により稚魚が生き残れなかったことが主な要因とみられるが、解明には至っていないのが現状。資源の回復を図ろうと昨年11月、町内で新たなふ化場が稼働したが、親魚が少なかったため、受精卵は目標1億4000万粒に対し、確保は550万粒にとどまっていた。
鵡川漁協によると、シシャモ漁の登録は漁船23隻、漁業者45人。同漁協は「今年度は資源回復に努める」と強調し、次年度以降については「まだ何も決まっていない」と話す。苫小牧漁協も「将来に向けて資源をしっかり残すためには、やむを得ない」と歩調をそろえた対応に理解を示す。
鵡川漁協は記録的不漁が続く状況を受けて、9月に町や道立研究機構栽培水産試験場(室蘭市)、さけます・内水面水産試験場(恵庭市)、道栽培漁業振興公社(札幌市)と「鵡川ししゃも資源再生調査研究会」を設立。年間水揚げ量50~100トンを目指し、生態の解明を進める方針だ。
むかわ町内の各事業者や団体も対応を強いられる。加工店では前年取れたシシャモの冷凍保存や道東方面などからの仕入れで代替するケースが多く、マルダイ大野商店の西川隆志社長(85)は「地元に越したことはないが、ないものをねだっても仕方がない。むかわの加工技術で対応する」と苦渋の決断。町観光協会は恒例の「ししゃもまつり」を「むかわ味覚まつり」(11月4日予定)と名称を変える考えで「シシャモ以外にも特産品があることを知ってもらい、秋の味覚を楽しんでいただきたい」と話している。
むかわ町のシシャモ漁は例年、10月上旬から40日間、産卵のため鵡川に遡上(そじょう)する前まで続く。
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