思い出の写真11万枚を持ち主へ、被災地復興支援「りす会山口」【山口】

山口市の災害被災地復興支援団体「りす会山口」は、自然災害で汚れた写真を洗浄して持ち主に返却する活動を10年以上続けている。これまでに取り扱った写真は11万枚超。金子寿徳代表(58)=阿東徳佐中=の指導の下、会員10人とボランティアが思い出の修復に取り組んでいる。
同団体は2011年の東日本大震災を受けて発足し、12年に金子さんが代表を引き継いだ。もともとは周南市を拠点にしていたが、現在は山口市道場門前2丁目の市市民活動センター「さぽらんて」を中心に、毎週末に活動している。東日本大震災の写真は6年間で6万枚以上を洗浄し、現在は20年の熊本豪雨で被害を受けた写真を中心に作業を進めている。
1日250~300枚を手作業で洗う。被災地から送られたアルバムから写真を剥がし、スポンジで写真のゼラチン質を損傷するバクテリアを取り除く。きれいにした写真はアルバムに入れて返却している。
写真は、宴席での笑顔の一枚もあれば、家族の日常生活の一場面を切り取ったものなどさまざま。どの写真にも思い出がこもる。金子代表は「写真は節目に撮るもの。人生の土台というべきものだから、災害で家、車、あるいは家族すらも失ったときに、写真とその思い出が帰ってくることがどれだけ心強いか」と思いを代弁する。
東日本大震災の被災地の団体と協力して展示を行い、持ち主を探す活動も行ってきた。金子さんは「返すときは涙を浮かべて、申し訳なくなるくらい感謝を伝えられる」と話す。遺体が見つからず、亡くなったことに実感を持てない遺族へ写真を返すと、遺影にして葬儀ができたという印象的なエピソードを振り返った。
防災士で災害復興支援団体「山口災害救援」のメンバーでもある金子代表は、防災啓発にも力を入れる。専門学校の講義では、災害復興支援にボランティアとしてできることを伝えている。
りす会では、大震災の発生から10年がたったことで風化が進むのを危惧。21年から3月11日に山口市内で、東北への応援メッセージを伝えるキャンドルイベントを開催している。
金子代表は「災害で被害を受けた写真を諦めきれないという思いに応えたくて続けている。ニーズがある限り、続けたい」と語った。
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