酒田北港「ブルーインフラに係る実証実験」 CO2削減と魚礁効果探る 石炭灰原料の基盤材海中敷設 国交省酒田港湾事務所 藻場状況など1年にわたり研究・調査
国土交通省酒田港湾事務所(藤原弘道所長)は22日、酒田市の酒田北港で、藻場などの海洋生態系を活用し、脱炭素化社会に貢献する「ブルーインフラに係る実証実験」を開始した。この日、最も早く作業を行ったのは、総合建設業・酒井鈴木工業と石油資源開発の実証実験共同体(代表・鈴木啓一郎酒井鈴木工業社長)で、石炭灰などを原料にした小割ブロックをネットに入れた基盤材(1袋約1トン)計40袋を海中に敷設した。今後は今月末ごろに海藻「アカモク」の胞子を基盤材に着床させ、藻場の造成状況やCO2吸収効果などを1年にわたり研究・調査する。同共同体の担当者は「小割ブロックでは空隙(くうげき)ができるので、アカモクによるCO2削減効果だけでなく、魚の生育場所にもなる可能性がある。環境にも良い影響があるのではないか」と期待している。
ブルーインフラは、「藻場・干潟など生物共生型港湾構造物」を意味し、藻場などが吸収するCO2は「ブルーカーボン」ともいわれる。実証実験は同事務所が酒田北港の船溜まりを実験場所として提供し、企業の持つノウハウを生かしながら藻場造成による脱炭素化や生物共生の取り組みを進めようと実施。今年3月に企業・団体に参加を呼び掛け、同共同体を含め5つの企業・団体を選定。今月から実証実験を開始した。
同事務所では酒田港大浜地区でも2015年から同様の実験を行っており、酒井鈴木工業では砕石などを作る工程で発生する石炭灰を活用し、単独で15年5月に石炭灰とコンクリートを混合した約2立方メートルの定型ブロック計166個を砂浜と消波ブロック間の海中に敷設。翌16年3月には着床し約4メートルに成長したアカモクの群生やハタハタの産卵などが確認できたという。
今回は大浜地区での実験結果を基に、定型ブロックを小割にして幅約12メートル、奥行き約14メートルのネットに詰めた基盤材計40袋を酒田北港北側の船溜まりに敷設することにした。
この日は同共同体の作業員らが午前9時から80トンクレーンを使い、一つずつ袋をつり上げて、水深約3メートルの海中に沈めていた。同共同体では年間3―4回、藻の成長状態やCO2吸収量などの調査を行う予定。同事務所によると、他の4企業・団体も来月から順次基盤材などの設置作業を開始するという。
同共同体では「大浜よりも環境はこちらの方が優しい。順調に行けば今年11月ごろには藻の成長を確認できるのでは。調査を通してCO2の削減効果が実証されれば広く他の地域でも使ってもらいたい」と話していた。

クレーンでつり上げ、基盤材を敷設
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