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羅漢像531体修復始まる

柿田教授(左奥)の指導を受けながら、修復のため五百羅漢堂の羅漢像をひな壇から慎重に下ろす学生ら=29日

 鶴岡市下川の龍澤山善寳寺(五十嵐卓三住職)の「五百羅漢堂」(登録有形文化財)に安置されている羅漢像など計531体の保存修復作業が本格的に始まった。全国的にも類を見ない20年余の長期事業となる見込みで、修復を通して、謎とされている制作者解明や、江戸時代の仏像研究分野で先行事例となる期待もある。29日、修復を委託された東北芸術工科大文化財保存修復研究センター(山形市)の教授や学生ら計15人が本年度修復分となる12体の搬出作業を行った。

 五百羅漢堂は北前船で栄えた旧松前藩の豪商の寄進で1855年に落成した。木造平屋建ての建物内部にはひな壇状の仏壇が設けられ、釈迦三尊十大弟子像や四天王、風神・雷神を配し、中国の五百羅漢図を模して作られた羅漢像を配置する。2015年11月17日付で同寺の「龍王殿」「龍華庵」「五重塔」「山門」「総門」とともに国の登録有形文化財に指定された。一般公開は基本的に行っていない。

 像は全て寄せ木造りで、小さいものでも高さ約60センチ。お堂の建立に合わせて寄進者が工房などに制作を依頼したとみられるが、詳細は明らかになっていない。芸工大による損傷状態調査によって像の部分欠損や接着剤の剥離などが見られる像は全体の3分の2と判明。残る像にも顔料の剥落など何らかの損傷が見られるなど約160年を経過して傷みが激しくなり、かつて誇った極彩色はほこりをかぶっている。

 修復は、文化的建造物を維持し境内の環境整備を目指して14年に発足した「龍澤山善寳寺奉賛会」(会長・新田嘉一善寳寺最高顧問)が芸工大と業務委託契約を締結して行う。昨年4月から羅漢像の修復に着手し現在2体が既に修復済み。剥落への対処など手探り状態のスタートだが、修復体制を確立させて作業効率化を図ることで、20年余で全像を網羅する計画。事業費は五百羅漢堂関連だけでも約2億3000万円。

 28日から30日の2泊3日の日程で芸工大の教授や学生らが「修復合宿」で善寳寺を訪問。座禅や境内の掃除なども体験し、信仰の世界に触れた。29日の搬出作業では、一体一体を数人がかりでひな壇から下ろし、あらためて状態を確認した上でそのまま丁寧に梱包(こんぽう)した。

 同大文化財保存修復学科の柿田喜則教授は「北前船の繁栄に由来する文化財であり、信仰の対象を次の世代に残すのがわれわれの役割。20年という長い時間をかけて、修復とともに研究の進歩も目指したい」と話した。  善寳寺では、修復済みの像を元の位置へ戻していく予定で、今後の期間限定の公開も検討している。

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