岩波其残の「和田嶺合戦図」展示 長野県原村の八ケ岳美術館
岩波其残が幕末の合戦を細かに写生した「樋橋合戦図」。八ケ岳美術館(原村)の企画展で展示されている
幕末から明治初期にかけて活躍した長野県諏訪市出身の俳人で画家の岩波其残(1815~94年)が幕末に現下諏訪町樋橋で高島藩士・松本藩士の連合軍と水戸藩士が争った合戦を写生した「樋橋合戦図」が、八ケ岳美術館(原村)で開催中の企画展「岩波其残と画友」(6月11日まで)で展示されている。一時、行方が分からなくなっていたが、一昨年9月に辰野美術館(辰野町)に寄贈されていることが分かり、今回の企画展に合わせて借り受けた。
和田嶺合戦図とも呼ばれ、原画が三つ見つかっている。一つは諏訪市有形文化財として同市博物館に、もう一つは豊島屋歴史資料館(岡谷市)に所蔵されているという。最後の一つは其残の直系の子孫が所有していたが、晩年に手放したため、行方が分からなくなっていた。
ただ、実際には直系の子孫から5年ほど前に辰野町内に住む親戚に渡っていた。さらに一昨年9月にはその親戚が高齢のため、辰野美術館に寄贈していたという。今回、八ケ岳美術館が企画展の準備作業を進める中で判明したという。
合戦は元治元(1864)年11月20日に樋橋の集落を中心に発生し、水戸藩の尊王派の浪士部隊と高島藩・松本藩の連合軍が激突。其残は俳人仲間の小池龍湖とともに合戦を一望できる白見沢山に入って写生した。大正時代に新聞連載された伝記「其残翁伝」によると、小池は砲声を聞くと岩の陰に隠れて観戦どころではなかったが、其残は動じずに写生に尽くしたという。
サイズは内寸で縦86センチ、横131センチ。墨で描かれ、顔料で彩色された。敵と味方を色分けし、文字も書き込まれた俯瞰図で、よろいから武器まで緻密に写されている。合戦図だが、兵士の顔は其残らしいふっくらした顔に細い目で表現されている。
八ケ岳美術館は「家宝として大事にされてきて状態が良い。美術品と文化財両方の価値があり、其残の画業でも大事な一作。写真がない時代の貴重な記録」としている。会期中無休。大人510円、小中学生250円。午前9時~午後5時。
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