奄美でも「火球」目撃 あれは隕石?UFO??
奄美大島の上空に流れる光の物体=11日、鹿児島県奄美市(目撃者提供)
10日午後8時半ごろ、鹿児島県奄美群島や沖縄県の上空で、光跡を残しながらゆっくりと流れる火球が相次いで目撃された。ネット上でも目撃情報が投稿され、あれは「隕石(いんせき)か」、はたまた「UFOか」といった声が飛び交った。
奄美市名瀬佐大熊町の県道81号(名瀬龍郷線)と臨港道路が交わる交差点で、市街地へと向かう車列の先頭で信号待ちをしていた50代男性は、煌々(こうこう)と流れる光の物体に驚き、車を路肩に寄せて映像を撮影。「花火の大玉を打ち上げたような高さで、音もなく、西から東へ流れていった。幾つもの光が平行して流れ、初めて見る光景だった」と状況を振り返る。
国立天文台天文情報センター長の山岡均(ひとし)氏は、昨年11月に中国から打ち上げられたロケットの一部が10日午後8時14分の前後5時間に大気圏に再突入するという予報と、目撃されたタイミングや物体の軌道がほぼ一致することから、同機の残骸である可能性が高いとの見方を示す。
隕石や流れ星など「自然物体(天体)」と宇宙ごみなどの「人工物体」の見え方の違いに、地面に対する「対気速度」があるという。山岡氏は「地球を周回する物体は秒速8キロぐらいで飛んでおり、自然天体は地球の軌道速度である30㌔毎秒と同じであるため、地球に衝突する時に10キロ毎秒より遅いことはまずない」と指摘。
また、成分を比較し「ロケットの金属素材は石や氷といった自然の天体より蒸発しにくく、ゆっくりと流れ、硬い岩とは異なり途中でばらけやすいのも特徴。寄せられた映像で、幾つもの光点が尾を引きながら低速で落ちていくのを見る限り、人工物体であると考える」と話した。
ロケットの残骸は人家などへ被害を及ばさないよう、地表面に到達する前に蒸発するように設計されているが、まれに燃え残ることがあるという。県危機管理防災局によると、11日午前10時現在被害情報は寄せられていない。
火球の動画(南海日日新聞社公式YouTubeチャンネルより)
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