花粉少ないスギ増産へ ハウスの採種園整備

和歌山県が新たに整備したビニールハウスの採種園(和歌山県田辺市中辺路町で)
和歌山県は新たに、県林業試験場中辺路試験地(和歌山県田辺市中辺路町)に、花粉が少ないスギの優良品種の種子を増産するため、ビニールハウスの「閉鎖型採種園」を整備した。外部からの影響を受けにくい環境で、優良な母樹を確実に交配し、花粉症対策の苗木の増産につなげる。
閉鎖型の採種園の整備は県内初。採種園のハウスは幅5・4メートル、奥行き18メートル。2棟あり、25品種、約190本を育て、種を取る。
ハウスにすることで、外部からの花粉の飛来やカメムシによる吸汁被害を防ぐ狙いがあるという。
育てるのは「特定母樹」と呼ばれ、花粉量が従来種の半分以下で、成長が良いもの。初期成長が良いと下草刈りなどの手間の省力、低コスト化につながるメリットがある。
県ではこれまで、花粉量が従来種の1%以下の「少花粉スギ」の採種園や穂木をとるための採穂園は整備しているが、特定母樹の採種園は初めてとなる。採種できるようになるのは25年度からの見込み。
■21年度は4万9千本/少花粉苗の生産量
県が花粉症対策苗木の生産のための母樹園を整備しているのは、中辺路試験地やその付近。08年度から少花粉スギの採穂園を作り、現在約0・7ヘクタールある。
また、12年度から15年度にかけて、少花粉スギの採種園を0・39ヘクタール整備し、初めて採種できたのは18年度。22年度にも拡張し、現在0・56ヘクタールになっている。
県が生産する花粉症対策苗の穂木や種は、県が山林種苗協同組合に販売し、組合を通じて各苗木業者に販売されている。業者によって苗木が育てられる。
少花粉スギの苗木の生産量は21年度、県内のスギ苗木の生産量約46万9千本のうち約4万9千本。ヒノキはまだ、花粉症対策の苗木が生産されていない。県は本年度から、ヒノキでの特定母樹の採種園も整備する予定。
県の「森林・林業〝新〟総合戦略」(22~26年度)は「花粉の少ない森林づくりの推進」を掲げており、目標として、花粉症対策苗木の植栽面積は26年度までの5年間で150ヘクタールとしている。
県森林整備課は「母樹園の整備を進め、将来的には県内で生産される苗木を全て、花粉症対策苗木に置き換えたいと考えており、順調にいけば35年度ごろには達成できる見込み」と話している。
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