能代港の洋上風車にタイムカプセル 地元児童が未来の自分へ手紙

洋上風車の専用クレーンで引き上げられる浅内小のタイムカプセル
能代市内の小学6年生が未来の自分に宛てて書いた手紙をタイムカプセルに入れて洋上風車の内部に保管するユニークな企画が18日、能代港の海上で行われた。この日は浅内小9人分のカプセルを沿岸から約2㌔離れた風車まで専用船で運んだ。先月卒業した全7小学校の6年生約330人が対象で、残りは5月末まで順次保管する。将来を担う子どもたちの思いが込められたカプセルは、二十歳の「成人式」が行われる2031年8月に開封する予定。
能代港の洋上風車20基は昨年12月、秋田港の13基は今年1月に運転開始した。商業ベースでは国内で初めてとなる大規模な洋上風力で、丸紅(東京)が主導する特別目的会社(SPC)「秋田洋上風力発電」(AOW、能代市)が約1千億円を掛けて建設した。
タイムカプセル企画は、両港の洋上風力発電所を管理する丸紅洋上風力開発(東京)が発案。国連がSDGs(持続可能な開発目標)の数値目標達成を目指す2030年に二十歳を迎える市内小学校の6年生(現在中学1年)が対象で、昨年度に「未来の自分」「地域の未来」をテーマに自分宛ての手紙を書き、思い出の品とともにタイムカプセルに詰めた。
カプセルは、はまなす画廊付近の陸地から見える防波堤西側の洋上風車7基に保管。7校にそれぞれ1基ずつ割り当てる。同社によると、風車の内部にタイムカプセルを保管する取り組みは国内初という。
この日は浅内小6年生9人分のタイムカプセルを専用バッグに入れて海上輸送。同市日和山下にあるAOW本社の岸壁から、大森建設(同市)など県内外4社でつくる「AKita OW Service(アキタ・オーダブリュー・サービス)」が建造した専用船(CTV)「レッドスター」で約30分かけて運んだ。
カプセルは羽根が回る風車に到着後、水面から約24㍍の高さに据え付けられたクレーンでつり上げた。続いて作業員がバッグからカプセルを取り出してタワーまで持ち運び、空洞になっているタワーの接続部材「トランジションピース」に保管した。
レッドスターの船長を務める能代市落合の布田樹一郎さん(47)は「洋上風車のメンテナンス業務は危険な作業で、船員を安全に無事送り届けることができると安堵(あんど)する。地元でこのような仕事に従事でき、やりがいを感じる」と話した。
カプセル企画に先立ち、昨年度、第四小など希望のあった3小学校でSDGsや洋上風力などをテーマにした特別授業を行った。講師も務めた丸紅洋上風力開発能代運転管理事務所の菅井幸来所長(39)=横浜市出身=は、カプセル企画について「子どもたちに風車を身近に感じてもらい、風車に愛着を、そして地域に誇りを持ってほしい。高校卒業後に能代を離れる人が多いと聞くので、二十歳をきっかけに戻って来る契機になれば」と期待。国内初の洋上風力に関し「地元と共生しなければ(売電期間の)20年間は続けられない。地元に愛される発電所にしたい」と述べた。
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