彫刻家の藤沢レオさん、北大院生と大学講師両立へ
苫小牧市樽前を拠点に活動する彫刻家藤沢レオさん(48)は4月、北大大学院文学院の文化人類学研究室修士課程に入学して学生生活を始めるとともに、札幌市立大学でデザイン学部の非常勤講師を務める。作品作りの傍ら、研究にも注力。「学びつつ、教えつつの生活になる」と新生活に期待を膨らませる。

新年度から大学院生、大学非常勤講師の二足のわらじを履く藤沢さん
藤沢さんは虻田町(現洞爺湖町)出身で、道都大学美術学部デザイン学科卒業。1999年に市内錦岡で工房LEOを創立し、2002年に樽前に移転。「生命」をテーマに彫刻、金属工芸などを駆使した作品を手掛けており、1年に2~3回の個展を開いてきた。
04年には若手芸術家グループ「樽前arty」を設立。アートイベントやワークショップ、出前講座を重ね、13年に「樽前arty+」に名称変更した。
大学院進学を視野に入れ始めたのは、モエレ沼公園(札幌市)で個展を行った21年7~8月ごろ。展示品の中にオニグルミの木を使った作品があり、自分で木を切り倒すところからやってみよう―と石斧作りから始めたことがきっかけになったという。
石器から鉄器の時代に移り変わり、「道具の発達で人々の暮らしがつくられ、今の世界があると思った」と藤沢さん。「命を大きな枠で捉えたとき、その中に人々の生活や暮らしがあると感じた」と話す。
以降、「模刻シリーズ」と銘打ち、土器や矢尻、漁労道具などを制作。いつしか「自分の活動と地域や個々人の暮らしがアートを通じて、どうつながっているのか研究したいと思うようになった」と語る。
友人らに相談する中で、同文学院人文学専攻文化多様性論講座の文化人類学研究室を勧められたといい、昨年5月から定期的にゼミに参加。他の学生の研究発表を聞くうちに、研究意欲が高まっていったという。
2月にオンラインで行われた口述試験に合格。アーティストやアートが地域にどう影響を及ぼしてきたかを約20年間のフィールドワークの実績を踏まえ、まとめる予定だ。
藤沢さんは「アーティストの作品を見る側の勉強にもなる」と強調。「多文化共生や博物館学など自分の活動に近い授業も多い。学部から学んでいる学生との間で知識に大きな差があるので、同じ土俵で議論できるよう頑張りたい」と意気込みを語る。
4月から札幌市立大で前期は週1回、講師も務める。2年ほど前から誘いがあり、昨年10月に引き受けることを決意。公募で選ばれた。藤沢さんは「材料加工理論実習1」などを担当予定で、「(学生との両立で)頭の整理を付けるのが大変そう」と笑う。
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