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苫小牧の本田青果店 笑顔で別れ 「朝市」から始まり半世紀超 31日に幕

苫小牧市港町の「海の駅ぷらっとみなと市場」で、前身の公設食品卸売センター時代を含めて長年営業してきた「本田青果店」が31日、閉店する。店主の本田勅子さん(81)は、昭和の中ごろまで苫小牧駅前にあった朝市で果物販売に携わり始め、それから60年余り。今では少なくなった朝市での商売を知る人物だ。「常連客から毎日のように、どうして閉めるのと言われるけど、健康なうちに辞めたかった」。最後は笑顔で幕を引くつもりだ。

ぷらっとみなと市場の店に訪れた客と会話を楽しむ本田さん(右)

 青果との関わりは18歳の時、朝市でリンゴなど果物を売っていた店主と結婚したのが始まり。戦後の食糧難の中で苫小牧駅付近で自然発生的にできた自由市場に由来する朝市は、1951年に誕生。70年ごろにかけて鮮魚や精肉、青果、菓子など100店ほどが軒を連ね、にぎわいを見せた。本田さんも子育てと店番をこなしたが、夫が亡くなり、経営を引き継ぐことに。苦労を重ねながら切り盛りした。その後、青果を運ぶ仕事をしていた故弘光さんと再婚し、2人で朝市の店を営んだ。

 しかし、駅前地区土地区画整理事業に伴い、朝市で商売ができなくなり、72年5月に開設された公設食品卸売センターへ朝市商業協同組合の組合員の多くが移転。本田さんは果物のほか、野菜も取り扱う「本田青果」を立ち上げ、卸売りで再出発した。弘光さんは青果の仲卸業を始めた。

 一般消費者に売る朝市時代と違い、商売の相手は企業や商店に。好景気のバブル経済の頃は、贈答用やゴルフ大会の賞品用などとしてフルーツ、野菜のセット商品が「飛ぶように売れた」と懐かしむ。その後、公設食品卸売センターは食品小売業へ業態転換し、2003年8月に「ぷらっとみなと市場」として再スタート。本田青果も一般市民や観光客らに旬の新鮮な果物や野菜を提供し、ファンを獲得していった。

 80歳を過ぎても夏は朝4時ごろ、冬は5時ごろから市公設地方卸売市場で青果物を仕入れ、店先に立ってきた。「ブドウ、メロン、スイカと毎月、旬のものが変わる。入れ替えの商品を並べて、お客さんと会話するのが本当に楽しかった」と振り返る。

 現在の施設で店を営んで半世紀。朝市時代の仲間は次々に店を畳み、他界した人も少なくない。本田青果の創業当初から付き合いがあった取引先の担当者も「3分の1くらいの人が亡くなったね」と時代の流れを感じている。最近は体力的にも「年齢を感じることも増えてきた」と言う。

 これまで、ほとんど休みなく働いてきた。ゆっくりと体を休められるのは年末年始だけ。定休の水曜日も地元保育園への野菜の配達をこなしてきた。「休みたいと思ってもお客さんが待ってる。何かにつけて大変で、誰もができる仕事じゃないよ」と誇らしげだ。

 これからは趣味のガーデニングを楽しむ。「長いような短いような、あっという間だった。お客さんには本当に支えられてきた」と感謝する。

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