生ごみを肥料に 無料化で段ボールコンポスト人気【宇部】

排出量減へ促進
宇部市は、生ごみを処理する段ボールコンポストのキットを今年度から無料提供しており、2月末までに有料だった昨年度の倍以上となる1000個の申し込みがあった。「さらに周知を徹底し、ごみの減量化を進めたい」と関連事業費を新年度予算に上積みした。
段ボールコンポストは、段ボール箱を使った生ごみ処理容器。ピートモス(泥炭)と、もみ殻くん炭を混ぜた基材が入っている。生ごみを投入すると好気性の微生物が生ごみを分解。3カ月の投入期間、1カ月の熟成期間を経て有機肥料として利用できるようになる。
市の2021年度のごみ排出量の構成比は、燃やせるごみが85%を占める。その内訳は紙類44%、生ごみ27%、プラスチック類12%、草木類8%、布類7%、その他2%。
家庭から出る生ごみを減量しようと、11年度に段ボールコンポスト事業がスタート。当初は1個1300円で販売していたが、普及を加速させようと19年度から1個600円に値下げ。今年度から無料に切り替えた。
市民への提供数は19年度が230個、20年度が540個、21年度が399個。無料になったため22年度(2月末まで)は1000個と一挙に伸びた。利用世帯数は年間平均100世帯で推移していたが、今年度は新規申し込みが増え約600世帯に拡大した。
市のごみ排出量の推移を見ると、17年度の6万2758㌧に対し21年度は9・3%圧縮されて5万6947㌧に減量。人口減少が主な要因だが、さまざまな減量啓発効果もあり、1人1日当たりのごみ排出量は17年度の1029㌘から21年度は963㌘に減った。
市廃棄物対策課ごみ減量推進係の川口修平係長は「全体のごみ排出量を考えると段ボールコンポストによる減量はわずかなものかもしれないが、環境に対する市民の意識向上につながっている。地道な取り組みの輪を広げたい」と期待を寄せる。
段ボールコンポストは各ふれあいセンター、廃棄物対策課(電話34―8247)、市環境衛生連合会事務局(同43―7375)の窓口で申請するともらえる。
趣味のガーデニングに活用 西宇部地区の安宗さん
友人に誘われて11年間、段ボールコンポストで生ごみの減量に取り組んでいる西宇部地区の安宗厚子さん(80)。屋外に置いた3箱をローテーションで回して一年中、堆肥を作り趣味のガーデニングに活用している。
「野菜のくずや肉、魚のアラなど何でも入れる。ものによっては小さくして投入する。微生物が分解してくれるので入れても入れてもかさが増えないのが不思議」と、そのパワーに驚く。
夏場はアブの幼虫が発生することがまれにあるが、虫よけの布で覆っておくと熱で死滅するという。
「化学肥料と比べて安心・安全。何より無料で、生ごみも減るので助かる」と咲きそろったビオラを前に笑顔を浮かべる。
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