えらぶ郷土研会が活動休止 島の文化、歴史保存に貢献 若手に期待、思い託す

会報最終57号の編集作業をするえらぶ郷土研究会の先田会長(中央)ら=12日、鹿児島県和泊町(提供写真)
鹿児島県沖永良部島の「えらぶ郷土研究会」(先田光演会長、会員約40人)は2022年度末で活動を休止する。「えらぶ郷土研会報」も57号をもって終刊。会報発行は前身の沖永良部郷土研究会(1998年発足)時代を含めると、同号で通算100回目となる。12日、会員と最後の編集作業を行った先田会長(80)は、執筆を担った会員らに感謝し、「今後は若い世代がその時代に応じた編集と仲間づくりをして、島の文化活動を広げていってほしい」と話した。
えらぶ郷土研究会は、沖永良部島の民俗文化、歴史の調査研究を通し、島おこしに寄与することなどを目的に2008年発足。多い時は60~70人が会員となり、会報発行や例会のほか、同島に関する書籍発行・監修、文化財保護に関する事前調査など、幅広い分野での調査研究・記録、史資料・文化財の保存継承に貢献してきた。
会報は各会員が執筆した原稿を印刷した4~30ページの手作り小冊子。先田会長は会報を発行するに当たり、「長く続けるためには何か基準がないといけない。民具解説を表紙に使えば、その1ページでも会報を発行できる。歴史民俗資料館には多数の民具が所蔵されており、50~100回は発行が可能だと考えた」と振り返った。
中心となって活動を支えてきた会員の急逝や、新型コロナウイルス拡大による例会中止、会報発行の中断など、これまでにも終刊の危機はあったが、会員から継続を願う声もあり、100回を目指して会報発行を続けてきた。
最終号では、表紙で100回目となる民具解説のほか、聞き書きによる島民の体験記、沖永良部島のシマウタ歌詞選集などを集録した。会員の一人で、今号の編集を担った和泊町歴史民俗資料館専門員の伊地知裕仁さん(42)は「特に先田会長がさまざまな人の体験、証言を聞き書きで発表し、形にできたのは貴重。それを掲載した会報、研究会の果たした役割は大きい」と終刊を惜しんだ。
会報終刊は「会員の減少、高齢化による書き手不足」が主な理由だが、先田会長は、これまで発行を続けてきたことで「鍛えられた会員もいる」と若手会員の成長を強調。島の各分野で活躍する若い世代の奮起も期待し、「ある程度正確な記述は最低限必要だが、今後は郷土研究会などと堅苦しくなく、同人誌などの発行ができないか。島の歴史文化を加味した執筆を続けてほしい」と次世代へ思いを託した。
「えらぶ郷土研会報57号」は和泊町歴史民俗資料館内事務局で希望者に無料配布している。
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