町内外から68人が参加したケツジョリ選手権。ジャンプ競技は飛距離、飛型の美しさを競った（藤里町営スキー場で）

　ビニールの肥料袋をそり代わりに斜面を滑る第９回白神山地ふじさとケツジョリ世界選手権は４日、藤里町町営板清水スキー場で開かれた。４年ぶりの開催となる今回は68人がジャンプとタイムレースに挑み、雪に恵まれたゲレンデの特設コースで飛距離と速さを競い合い、久しぶりに笑い声を響かせていた。

　町ツーリズム協議会（会長・佐々木和繁副町長）の主催。ビニールの肥料袋をそり代わりにして斜面を滑る昔の遊びを「競技」とする冬のアウトドアイベントとして平成27年１月に初開催されたが、雪不足と新型コロナウイルスの影響のため過去３年は連続で中止されており、今年４年ぶり。
　今回は能代山本をはじめ、秋田市、北秋田市、県外は川崎市など各市町から小学生13人、大人55人の合わせて68人が参戦した。
　藤里町でＡＬＴ（外国語指導助手）を務めるアーロン・カーンさんが「一生懸命滑ることを誓います」と選手宣誓して競技が始まり、ジャンプ競技は、小学生のみ対象のノーマルヒルと中学生以上が競うラージヒルで行われた。ジャンプしたら空中で両手を上げ、お尻から着地するというルールで、飛距離と飛型点の合計で順位を競い合った。
　選手たちは、スタート地点で「優勝を目指します！」「賞品が欲しい」などと決意を宣言してスタート。急斜面を滑り降りてジャンプ台から飛び出すと、空中で両手・両足でＶ字を決め、迫力の跳躍には観客から大きな拍手が沸き起こった。コース途中で体の向きがずれて斜めに飛び出したりとハプニングも発生したが、肥料袋と思い切りの良さで世界一を目指す選手の戦いを、会場は歓声と拍手でたたえていた。
　ノーマルヒルに参加して女子の部の２位に入った柴田なのはさん（能代市第四小５年）は、「初めて参加したけれど、怖さより面白かった。きれいに飛べたと思う」と話し、わくわくする体験を楽しんでいた。
　タイムレースは約77㍍の特設コースで争われ、急斜面、緩斜面、Ｌ字カーブで構成された難しいコース設定に挑戦した。
　特に体重の軽い小学生たちはスピードに乗り切れずに途中で止まってしまうなど苦戦が続き、また姿勢をコントロールできずに逆向きに滑ってしまったりと苦労しながらもゴールラインを通過し、タイムの善しあしで会場を沸かせた。
　昼食時には特製の「あったか鍋」が参加者に振る舞われ、冷え込みが厳しいながらも比較的穏やかな天気の下で熱々の鍋を味わい、競技に熱中して真冬の１日を楽しんでいた。