
4年ぶりに復活する諏訪湖祭湖上花火大会。全国屈指の規模と諏訪湖周の山々がもたらす音響効果が人気だ(写真は2019年の第71回大会)
長野県諏訪市の諏訪湖で8月15日に開く「諏訪湖祭湖上花火大会」が、4年ぶりに復活する。市や諏訪商工会議所、諏訪観光協会などでつくる実行委員会は30日、分散開催が続く大会方式について「桟敷席を設けるスタイルで8月15日に一定規模の花火大会を開催する」とし、終戦記念日に盛大な花火大会を開く方針を決めた。安全面や資金面への対応を検討しながら具体的な要綱案をまとめ、4月11日の次回実行委で正式決定する。
湖上花火大会は戦後混乱期の1949年、戦没者の追悼と市民生活の復興を願って始まった。「東洋のスイス」と言われた製造業や観光業とともに発展し、最後に開催した2019年の第71回大会は27セット約4万発を打ち上げ、約46万人(主催者発表)を集め、実行委は有料桟敷席約2万5000席を販売した。しかし、20年は新型コロナの影響から史上初の中止を決定。21、22年は8月1日から15日間、毎日10分間打ち上げる分散開催としてきた。
第75回大会に向けては今年度、事務局の市職員約30人が「これからの花火を考える会」を2回開催。昨年8月の長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市)や11月の土浦全国花火競技大会(茨城県土浦市)など有名花火大会の視察を踏まえ、 新型コロナの感染法上の位置付けが5月8日から5類に移行することや、大規模イベントの収容人数規制が撤廃されたことも考慮し、大会開催は可能と判断した。
約70人が出席した実行委で、市側は「コロナ禍からの復興と地域に希望と元気を提供する市内最大のイベントと位置付け、安全安心・おもてなし感を創出し、市民にとっても、お客さまにとっても一番の花火を目指す」と方針を示し、有料桟敷席を設置する花火大会の復活を提案。実行委は全会一致で了承した。
大会規模は未定だ。安全安心な花火の打ち上げを最優先とし、感染症対策をはじめ、湖畔に新たに整備された柳並線やサイクリングロードに対応する雑踏事故対策や混雑緩和対策、花火打ち上げ施設のあり方、有料桟敷席の範囲や料金、物価・人件費高騰対策を盛り込んだ要綱案と予算案を作成する。市は「大会規模はスポンサーの動向を含めて状況が整う中で見えてくるだろう」とする。
実行委の観光関係者からは「諏訪湖の花火はブランドであり文化」などと復活を歓迎する意見が相次いだ。一方、警備体制の再構築や分散開催による経済効果、近隣市町との連携を求める意見もあった。会長の金子ゆかり市長は「4年前に戻すという発想ではなく、変化に対応しながら新たな魅力を皆さんと一緒につくっていく。多くの皆さんに満足していただける花火を盛大に打ち上げたい」と意気込みを語った。
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