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北羽新報社

風車の排熱を農業に 白神ウインド社が能代市で実証研究

地中から熱を取り出すための塩ビ管の敷設工事(能代市須田で)

 能代市と八峰町にまたがる6地区で陸上風車25基を建設する同市河戸川の「白神ウインド合同会社」(代表社員=大森建設)は、風車から放出される排熱と、年間を通じて一定温度が保たれる地中熱をビニールハウスに供給するための工事を市内の農地で進めている。未利用となっている風車の排熱を農業施設に供給する国内初の取り組みで、ハウスを暖める燃料費の削減につながるほか、二酸化炭素(CO2)の排出削減で農作物の付加価値を高められるメリットも期待できる。

 同事業に750万円出資した市は、同市に建てる17基中9基が農地にかかるため、2年3月、農山漁村再生可能エネルギー法に基づき協議会を設置。地域農林業の発展と風力発電事業の共生を図るため、須田や比八田、朴瀬などの農地にかかる9基の設置場所を再エネ発電設備の整備促進区域に指定。白神ウインド社は指定に合わせ設備整備計画を策定し、市で認定した。
 同計画にかかる認定申請書によると、発電事業で得られる売電収益のうち2億円を市と民間団体などに拠出し、風車から出る排熱や地中熱をビニールハウスに供給する実証研究を実用化し、通年農業を支援する。
 風車のタワー内部にある電力の周波数を調整する「整流器」、電圧を調整する「変圧器」から放出される排熱と、外気よりも夏は涼しく冬は暖かい地中熱を活用する珍しい取り組みで、農地の9基すべてに設置する。ヒートポンプなどの機器やビニールハウスは農家らが自前で用意する必要があるが、実用化されれば風車の運転期間中は無料で熱供給を受けられる。対象は風車周辺の地主ら。エネルギー供給量は約35㌗時で一般家庭約80世帯1年分に相当する。
 工事では、風車の排熱と地中熱を取り出すための塩化ビニール管を地中に敷設。風車本体の基礎工事に合わせ、地中約4㍍に1基当たり1・8~2・2㌔㍍の管を敷き詰める。風車の稼働後は農地9基のうち1基に実証研究用のハウスを設置し、熱の供給制御や農作物の栽培方法、風車停止時の対応といった課題を検証する。年度内に研究開発コンソーシアムを設立する予定。
 農業では石油ボイラーを使ってハウスを加温するのが一般的だが、石油価格の高騰に伴う燃料費の増加がハウス農家の経営を圧迫している。品質や収量を保つには温度は下げられないため、風車の熱供給システムが確立されれば農業経営には大きな助っ人となる。CO2の排出量を減らして栽培した環境配慮型農作物として売り込みやすくなることも期待できる。JAあきた白神が年間販売額21億円を目指す白神ねぎの生産拡大に向け、ネックの一つになっている育苗施設の不足解消につながる可能性もあるという。
 農業向けの風車の熱利用は特許出願中で、実証研究が成功すれば残り8基や他地区にも広げたい考え。石井昭浩技術営業部長は「農家は従来通りのビニールハウスを設置するだけ。風車由来の熱エネルギーを活用した脱炭素化通年農業という例のない取り組みを成功させたい」と話す。
 白神ウインド社が建設する「白神ウインドパワー風力発電所」は落合、比八田・朴瀬、峰浜、水沢の4発電所から成り、市に17基、町に8基建てる。地区別は市の落合に8基、荷八田・朴瀬に5基、須田・竹生と比八田の両地区に各2基ずつ、町の沢目と水沢の両地区に各4基ずつ配置する。1基当たりの出力は4200㌗、総発電出力は9万6600㌗で、両市町の2・5倍に当たる一般家庭6万5千世帯分を賄える。投資額は380億円。風車は独エネルコン社製。昨年7月に着工し、7年3月の運転開始を目指す。

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