長野県下諏訪町の「下駄スケートコレクション」 国有形民俗文化財登録へ

諏訪湖博物館・赤彦記念館に展示されている下駄スケートなど。氷滑り下駄からスケート靴までの変遷を知ることができる
国の文化審議会は20日、長野県下諏訪町が町立諏訪湖博物館・赤彦記念館で保管する「諏訪の下駄スケートコレクション」を国の登録有形民俗文化財に登録するよう、文部科学大臣に答申した。今後、官報告示を経て登録される見通し。「下駄スケート発祥の地におけるまとまった収集は貴重であり、地域の娯楽や用具の変遷を考える上で重要な文化財」と評価された。
登録されるのは、長年にわたり地元住民から寄せられ、同博物館が保管する下駄スケート124点、下駄の裏に竹を取り付けた「氷滑り下駄」5点、下駄スケートを履く時に使う「真田紐」6点の計130点。同文化財への登録は、県内では同博物館にある「諏訪湖の漁撈用具及び舟大工用具」に続いて2件目となる。
同博物館によると、諏訪地域における下駄スケートは、1906(明治39)年1月に同町の飾り職人だった河西準之助が初めて作った。
明治時代は諏訪湖をはじめ、水田や池に良い氷が張り子どもたちは氷滑り下駄で氷上を滑って遊んでいたが、当時のスケート靴は外国製が平均15円(現在の価値で約25万円)、国産のものでも2円50銭(約4万2千円)ほどでとても高価。
町の学生から依頼を受けた河西がフィギュアスケートの靴を参考にブレード(刃の部分)や支脚を下駄底に取り付け、下駄スケートが生まれた。完成後すぐに同町高浜の諏訪湖で試し滑りをしたことから、同所が「下駄スケート発祥の地」と呼ばれた。
下駄スケートは1足30銭(約3千円)ほどで売り出され、爆発的に売れた。諏訪一円の鍛冶職人が下駄スケートを作り、一気に広がった。1908(明治41)年には「第1回諏訪湖一周競争会」が諏訪湖で開かれ、全国紙で報道されたこともあり、諏訪湖のスケートが全国的にも有名になった。
昭和30年代からスケート靴が主流になると、使わなくなった下駄スケートが旧同町公民館に寄贈されることも。同博物館が開館すると受け入れを引き継ぎ、管理してきた。
2015年まで同博物館長も務めていた宮坂徹町長は「登録はスケートに関わってきた多くの方の協力のおかげ。諏訪がスケートの一つの聖地だったことを知ってもらえるきっかけになってほしい」と話した。
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