ドングリ拾って森守ろう 田辺市の林業会社が回収箱

熊野の森を保全するプロジェクトで使用するドングリ回収ボックス(和歌山県田辺市秋津川で)
林業ベンチャー「ソマノベース」(和歌山県田辺市文里2丁目)が、ドングリを拾って熊野の森を保全するプロジェクトを立ち上げた。地域住民や企業、観光客が集めたドングリを育て、植林する。田辺市内の事業者と協力して、熊野古道沿いなど3カ所にドングリ回収ボックスを設置。まち全体で未来の森をつくる。
異常気象や相次ぐ災害で、環境問題に関心が高まる中、森林の役割が注目されている。ソマノベースは「土砂災害による人的被害をゼロにする」のビジョンを掲げている。木を伐採した後の「植林(再造林)」は、土砂災害を防ぐ解決策の一つになるという。
プロジェクト「三度(たびたび)」は、ドングリ拾いをきっかけに、森林に興味を持ってもらい、「自分事」として保全に関わってもらうのが狙い。森づくりを通じ、地域や世代を超えた交流が生まれることも期待している。
田辺市の事業者と大手企業の若手社員が交流することで、人材育成を図る事業「ことこらぼ」から生まれた企画。プロジェクト名には「森の環境に魅了された人が、たびたび熊野に足を運ぶようになってほしい」といった思いを込めた。
仕組みはシンプルで、熊野の森や古道を散策したり、観光したりしながら拾ったドングリを回収ボックスに入れてもらう。ソマノベースがドングリを選別し、苗木に育てて熊野地域で植林する。
回収ボックスは縦35センチ、横25センチ、奥行き18センチ。ケヤキ、スギ、ヒノキ、クリ、タモ、ブナの6種類の市内産木材を組み合わせて作っている。
設置しているのは、「古道歩きの里 ちかつゆ」(田辺市中辺路町近露)▽「道の駅 紀州備長炭記念公園」(秋津川)▽「とがのき茶屋」(中辺路町野中)。他にも設置を申し出る施設があり、さらに増えそうだという。設置期間は来年1月31日までの予定。
ソマノベースの奥川季花社長は「誰もが参加できるプロジェクト。楽しみながら拾ったドングリが山に帰って、森林になる。そんな循環をつくりたい。それが土砂災害防止にもつながる」と呼びかけている。
関連記事
豚丼全国へギフト開発 帯広物産協と会員2社
帯広物産協会が進める「100年豚丼プロジェクト」が新たな展開を見せている。全国に向け、豚丼の魅力を発信しようと、会員企業と連携し、ギフト用に本格的な豚丼セットを開発した。中元シーズンに合わせ売り...
プロゴルファー生源寺選手が母校・竜王中で講演 「向上心や探究心を大切に」..
赤崎小、竜王中出身のプロゴルファー、生源寺龍憲選手(27)が9日、同中で講演した。母校の後輩に当たる児童・生徒224人を前に、中学時代を振り返りながらプロ生活について語り、夢や目標に向かって意欲...
イガイ「エゲ」「イゲ」はうまい!! 豊富に採れる庄内浜 “夏限定”でないをアピ..
みそ汁にするとおいしい庄内浜の「イガイ」をアピールする取り組みが始まった。県漁協、県水産研究所、鶴岡市、磯見漁師、飲食店がタッグを組み消費拡大を目指す。 イガイは水深5~7メートルの岩に付...
前向きな心で輝く人生 豊川の岡村さんが闘病経験伝える講演
悪性リンパ腫や卵巣嚢腫(のうしゅ)破裂などの病気を乗り越えた豊川市の岡村加奈さん(34)が、自身の経験を伝える活動に力を入れている。1月に豊橋市、6月には名古屋市で「ポジティブ思考と言葉で人生が輝...