手際よく砂糖をまぶして仕上げるスタッフ
長野県諏訪市諏訪2の中央食品工業(伊藤泰輝社長)は、諏訪地方特産のカリン(マルメロ)を使った砂糖漬け作りに追われている。収穫したての実を加工するこの時期のみの季節作業。栽培農家の減少で果実の確保に苦慮し、今年は市が観光のため栽培管理する諏訪湖畔のカリン並木からも調達。観光客の戻りに需要増を期待して、昨年の2倍近い約1トンを加工する。
創業以来、3代にわたり手掛ける”看板商品”の一つ。昨シーズンは不作で早々に完売したこともあって、今年の発売を心待ちにするファンが多く、問い合わせが相次いでいるという。
コロナ禍で観光客が激減したこの数年で栽培農家が減ってしまい、「ぎりぎりまで実の確保に奔走した」と伊藤社長。集めた実は1個ずつ布で拭って表面の毛と汚れを取り、割って芯を抜いたら厚さ1.5ミリほどの薄切りに。水にさらした後、双糖でゆっくり煮詰め、釜から上げて砂糖をまぶす。煮るとマルメロ特有の渋みが抜けて香りが立つという。
スタッフはベテランぞろいで手際がよく、薄切りにした1枚1枚を丁寧に仕上げている。砂糖漬けは「紅茶に入れるのがお勧め。香りがよく、甘みと酸味が絶妙」といい、諏訪地方の土産品店やスーパー、サービスエリアなどで販売を始めている。
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