食を通じ交流 スペイン・バスク州ビルバオ地方の一行 白老アイヌ協会
スペイン北部のバスク州ビルバオ地方から「ビルバオ北海道プロジェクト」視察団が13日、白老町を訪れた。地元ビルバオ地方の沿岸に自生する海藻類を食用として活用する知見を得るとともに、アイヌ文化を探究することが目的。団員たちは、白老アイヌ協会の会員らと昆布を使った料理などを作って交流した。

握手を交わす白老アイヌ協会の山丸理事長(左)とビルバオスローフード協会名誉会長のゴメス氏
視察団は、代表を務め、今年5月に下見で函館市などを訪れているビルバオスローフード協会名誉会長のマリアーノ・ゴメス氏(59)と、ビルバオ地方のミシュラン三つ星レストランのシェフら5人。
11日に来道し、16日までの6日間、渡島、胆振、日高管内の各地を巡り、青のりの養殖をはじめ、昆布やガゴメ昆布の加工、品質管理、調理方法などを学ぶ。バスク人はフランコ体制下のスペイン(1936年~75年)で、バスク語の使用やバスク国旗の掲揚を禁止されており、同様の歴史がある中で独自の文化を営んできたアイヌ民族の文化にも理解を深める。
白老町では、民族共生象徴空間(ウポポイ)を訪れ、国立アイヌ民族博物館の展示や伝統芸能を見学した。その後、白老コミュニティセンターに移動し、白老アイヌ協会会員の手ほどきで、昆布でだしをとったチェプオハウ(サケの汁物)やペネコショイモサヨ(しばれイモのかゆ)などを作り、試食をしながら交流した。
ゴメス氏は、歩んできた歴史の類似性で同協会の山丸和幸理事長(74)と共鳴。談話で「グローバリゼーションの中にあっても文化や食の独自性を失わず、世界に発信をし続けてほしい。アイヌの伝統料理の味には幸福感がある」と述べた。山丸理事長は「(ゴメス氏から)郷土や民族、文化に対する熱いエールを受けた。この出会いを大切にしたい」と話していた。
プロジェクトを支援し、視察行程をコーディネートする札幌国際大学教授で内閣府地域活性化伝道師の遊佐順和氏(54)は「視察団が訪問先の町の人たちにとって、食材の魅力を再認識したり多文化共生への相互理解を深めたりする機会になれば」と期待する。
一行は14日に平取町でアイヌ文化への理解を深め、16日に新ひだか町でもアイヌ文化や食用としての海藻の利活用について探究する。
握手を交わす白老アイヌ協会の山丸理事長(左)とビルバオスローフード協会名誉会長のゴメス氏
関連記事
落ちアユ狙う伝統漁法 「せぎ漁」始まる
和歌山県田辺市本宮町などを流れる熊野川やその支流で、産卵のために川を下る「落ちアユ」を狙う伝統漁法「せぎ漁」が始まっている。本宮町川湯を流れる大塔川では25日、アユの群れをめがけて網を投げる地...
原因究明し資源回復へ 「調査研究会」を発足 「鵡川ししゃも」記録的不漁受け
むかわ町のブランド「鵡川ししゃも」の記録的不漁を受け、町や鵡川漁業協同組合、道内調査研究機関などで構成する「鵡川ししゃも資源再生調査研究会」が25日、発足した。昨年秋から町内で稼働するししゃもふ化...
好調!!庄農うどん大作戦 4週で1160食注文 「おいしいね」の声に喜び実感 庄内..
鶴岡市の県立庄内農業高校(坂井孝朗校長)の生徒が取り組んでいる「庄農うどん大作戦!Season5」が好調だ。今年も今月初めに藤島地域の飲食店9店舗で生徒が作った「庄農うどん」の提供が始まったが、客...
埴生小・中で稲刈り始まる【山陽小野田】
埴生小・中(東原秀一校長)に隣接する学習田「ハーブねっと農園」で25日、稲刈り体験が始まった。午前中は小学5年生27人、午後は中学1年生26人が黄色く色づいたもち米品種マンゲツモチの稲を鎌で...