アオウミガメ、住民が救出 奄美大島・龍郷町 干潮で身動き取れず

地域住民らに救助されたアオウミガメ=28日、鹿児島県龍郷町赤尾木の海岸(提供写真)
鹿児島県龍郷町赤尾木の海岸で28日、干潮の砂浜で動けなくなっているウミガメを散歩中の地域住民2人が見つけた。甲長が約80センチ、幅約70センチのビッグサイズで、衰弱した様子だったため、他の住民の協力も得てウミガメを救出。無事に海へ帰した。
ウミガメを見つけたのは同町でペンション「マリンテラス」を経営する重井一馬さん(68)と永野月江さん(62)のきょうだい。ウミガメに外傷は見当たらず、網などが絡み付いた様子もなかったが、手足をばたつかせるだけで身動きが取れなくなっていたという。
「このままでは死んでしまうかも」と、家族や通りかかった夫婦の協力も受け、6人で救出作業を展開。一輪車に乗せて波打ち際まで運搬し、海の中へ。
息を吹き返したように手足を大きく動かし始めたウミガメは、甲羅を押す重井さんら住民の「頑張れ」という声援に見守られるように自力で泳ぎだした。
沖に向かって泳ぐウミガメに、重井さんらは「お礼には来なくていいよ」と声を掛け、永野さんは「みんなで助けられてよかった」と笑顔で話した。
ウミガメの写真を確認した奄美海洋生物研究会の興克樹会長によると、重井さんらが救出したのは国内で絶滅危惧Ⅱ類に分類されているアオウミガメ。同研究会によると、奄美大島では2021年に241回の産卵が確認されている。
ウミガメについては県が保護条例を制定するなどして生息環境の保全に取り組んでおり、興会長は「救出作業は大変だったと思うが、自力で泳いでいったとのことでベストな選択だったと思う」と評価。「動けなくなっているウミガメは、適切な保護が必要になる場合もある」として、「発見した場合は役場などにも一報を」とも呼び掛けた。
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