珍種「キジロオヒキグモ」 徳之島で初確認 別名「スコーピオン・スパイダー」

鹿児島県徳之島の伊仙町検福で発見されたキジロオヒキグモの雌(提供写真)
生息数が少なく、珍しいとされるクモ「キジロオヒキグモ」が今月上旬、鹿児島県徳之島の伊仙町検福で見つかった。徳之島での生息確認は初めて。種を特定した東京大学農学部農学特定支援員の谷川明男さん(65)は「個体数が少なく見つけることが難しい種。生息の分布が更新される貴重なデータだ」と確認の意義を強調した。
確認したのは、同町で認定ガイドを務める美延優志さん(32)。今月7日、検福の鍾乳洞「銀竜洞」で開かれた自然観察会に参加した際に、洞窟の入口付近で見つけて捕獲。谷川さんに個体を送ったところ、キジロオヒキグモの雌であることが確認された。
キジロオヒキグモの雌は体長3センチほど。尾のように長く伸びる腹部が特徴で、サソリに似ていることから英語では「スコーピオン・スパイダー」とも呼ばれる。雄は体長1ミリほどで体形は普通のクモと変わらない。
谷川さんによると。国内の生息北限は栃木で南限は沖縄本島。奄美群島では奄美大島で確認されている。
今回の確認結果は11月に発行する日本蜘蛛学会のニュースレターに掲載し、捕獲した個体は標本として国立科学博物館に収蔵する予定。谷川さんは「生息の空白地が埋まり、専門家にとってはありがたい発見。徳之島はまだ調査、研究が行き届いていないため、今後も新しい発見があるのではないか」と期待した。
小さいころから生物好きだったという美延さんは「豊かな森が残る生物多様性の島ならではの発見」と喜び「クモは嫌われることも多いが、どんな生き物にも自然界での役割がある。目立たない小さな生き物への興味があると、世界自然遺産の価値を一層深く感じられる」と話した。
関連記事
ドイツ鉄道街並み再現 池田の君島さん 帯広児童会館で
帯広市児童会館で8日、「鉄道模型の世界~ドイツ鉄道とクリスマス展」が始まった。池田町の元町職員君島利彦さん(64)が制作したドイツの街並みのジオラマと鉄道模型が並べられ、老若男女の注目を集め...
ゆうれい寿司PRに市職員ら有志の〝ゆうれいシスターズ〟【宇部】
宇部市吉部地区に伝わる郷土料理「ゆうれい寿司(ずし)」。名前もユニークな古里の味を全国に発信しようと、幽霊に扮(ふん)した宣伝隊〝ゆうれいシスターズ〟が販促イベントで活躍している。「怖いけど...
東京米スター最高金賞 若手生産者グループ 鶴岡ファーマーズ 鶴岡の資源循環の..
東京都内の米屋が審査員となって全国から寄せられたブランド米を審査する「東京米スターセレクションKIWAMIコンテスト2023」で、鶴岡市内の若手農家でつくる鶴岡ファーマーズ(石塚寛一代表)が出品した...
中ア3山荘の改修着手へ 基金積み立ても 長野県宮田村
長野県宮田村は老朽化が進む中央アルプス宮田地籍内で営業する宝剣・頂上・天狗の3山荘の改修工事を2024年度から着手する。特に緊急性の高い宝剣・頂上を優先。また将来的な3山荘の大改修を視野に、2...