山口さんのアマゾンコレクションに新しい息吹を
今秋東京で開催「ブリコラージュ展」前に 女性アーティスト2人来鶴 山口さん訪問
元アマゾン資料館館長の山口吉彦さん(80)=鶴岡市陽光町=が、南米を中心に世界で集めた民族コレクションに新しい命を吹き込もうという展示会「TRACING THE ROOTSアマゾンコレクション『ブリコラージュ展』」が今秋、東京都内で開かれる。展示会に出品する2人の女性アーティストが19、20の2日間、山口さんの元を訪れ、集めた作品の思い入れや先住民の生活様式について聞いた。
山口さんは40年以上にわたりアマゾン流域に暮らす先住民と接しながら民族品などを集めた。その数は2万点以上。貴重なものばかりで「文化遺産級に相当する」として有識者の間で評価は高い。こうしたコレクションは鶴岡市が伊勢原町に整備した「アマゾン民族館」に展示していたが、2014年に閉館。現在、維持管理と保存が課題となっている。山口さんが倉庫を借りるなどして保管しているが、中には壊れてしまったものも多い。
そこで「ブリコラージュ展」を企画するマザーディクショナリー代表取締役の尾見紀佐子さん(51)=東京都=が中心となり、壊れた作品を芸術としてよみがえらせようと、山口さんに話を持ちかけ快諾を得た。今年4月に約200点の提供を受け、展示会に出品する各アーティストが現在制作を進めている。
山口さん(中央)からコレクションの説明を受けた木村さん(左)と渡部さん
今回、来鶴したのはフラワーデザイナーの木村亜津さん(36)=東京都=と、編組品作家の渡部萌さん(26)=東京都。山口さんを訪ねコレクションの数々を見学した。
木村さんは「コレクションを見ているだけで楽しかった。鳥の羽を素材に、これから展示する作品のイメージを膨らませたい」と。渡部さんは「ペルーのシピボ族が作った壺に興味が湧いた。先住民の生活様式の変化や民族品がどのように使われていたか山口さんから直接、話が聞けて良い機会になった。うまく作品に表現したい」とそれぞれ感想を語った。
2人の訪問に山口さんは「現代アートの若い人たちが、壊れてしまったコレクションに新しい命を吹き込んでくれる、ということでありがたい気持ち。とてもうれしい」と笑顔で話した。
「ブリコラージュ展」は10月11日から16日まで東京・代官山の「HILLSIDE TERRACE」で開かれる。会場では作品を展示販売し、売り上げの一部をアマゾンコレクションの維持・保存に有効活用する。尾見さんは「山口さんと私たちの共通点は自然との共生と命の営み。アーティストの作品を通して、そうした思いを多くの人に伝えたい」と話している。
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