「キハ40系」最後の見送り JR東能代駅から回送、廃車へ

多くの鉄道ファンに見送られ、廃車回送されるキハ40系(能代市田屋で)
昨年3月までJR五能線や男鹿線を走り、能代市鰄渕の東能代駅構内に留置されていたキハ40系気動車6両が15日、秋田市の秋田総合車両センターに廃車回送された。昭和50年代から40年余りにわたって活躍してきたが、老朽化に伴って引退。同駅構内には廃車を待つ車両が長らく留置され、地元をはじめ県内外の鉄道ファンが足を運んでいた。同センターへ回送運行中の奥羽本線沿いでは、県内外から駆け付けたファンが名残を惜しみながらカメラのシャッターを切っていた。
キハ40系気動車は、国鉄時代の昭和52年に導入され、57年までに888両が製造。62年の国鉄分割民営化後も継承され、全国各地の非電化路線で運用。五能線では、クリーム色の車体に青色のラインを施し、両側運転台の「キハ40形」と片側運転台の「キハ48形」を組み合わせて運行してきたが、老朽化に伴い昨年3月13日のダイヤ改正で新型気動車「GV─E400系」にバトンタッチした。
その後は男鹿線で使われていた車両とともに、東能代駅構内などに留置、順次秋田総合車両センターで解体作業を行っているが、五能線色の1両「キハ40─535」は、北条鉄道(本社・兵庫県加西市)がクラウドファンディングを活用して購入。今年3月から運行している。
東能代駅構内では15日午前から回送に向けた準備が進められ、同センターのディーゼル機関車が最後の6両と連結。午後2時ごろに同駅を静かに出発した。能代山本有数の撮影スポットである能代市田屋の榊踏切周辺では県内外の鉄道ファン約20人が集まり、別れを惜しみながらカメラのシャッターを切った。
この日回送された車両のうち3両は、昨年3月12日のラストランで東能代駅─弘前駅(青森県)間を走った車両。青森県出身で千葉県浦安市に住む30代男性は「青森にいた時は五能線色のキハ40によく乗っていたので、最後の見送りができればと思って訪れた。廃車にするのは残念で、北条鉄道や小湊鐵道(千葉県)のように引き取ってくれる地方鉄道があれば良かったのに」と寂しそうに語った。
また、鉄道好きの3歳の孫と平日はほぼ毎日東能代駅に通っていた市内の60歳女性は「とても愛着があった。鉄道は根強いファンがいて、引退した車両は五能線の観光資源になると思っていた。どこかで引き取るなどして、せめて1両残して展示してくれればと願っていただけに、残念でならない」と惜しんでいた。
JR秋田支社によると、同日時点で企業や団体、個人から譲渡の申し出はないとし、担当者は「廃車の準備ができ次第、順次解体することになる」と話した。
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