タンカンのブランド化へ処方箋 奄美大島 果実の品質、見える化

タンカン品質データを数値化した「光センサー分析処方箋」の参考事例
鹿児島県園芸振興協議会大島支部果樹技術部会(浜田恭平部会長)は今年から、奄美大島選果場(奄美市名瀬)に持ち込まれたタンカンなどの品質分析結果をまとめた「光センサー分析処方箋」を作成し、出荷した全農家へ処方箋の配布を進めている。製品率や平均糖度、果実の等級割合などを項目ごとに、出荷農家、所属地区、奄美大島全体別に数値化して、チャートや円グラフで分かりやすく紹介。今後は分析データを基にした農家別の営農指導を推進し、産地のブランド化を目指す方針だ。
奄美大島選果場では、選果した果実のデータが保存されている。昨年4月、JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹生産部会の大海昌平部会長(66)から、このデータを活用した営農指導用資料を作成できないか相談があり、作成に着手した。
処方箋では出荷した果実の製品率、秀品率、L・2L割合、平均糖度、平均酸度の5項目を数値化し、5段階で判定している。また出荷農家が所属する地区と奄美大島全地区の平均数値も記載され、所属地区や奄美大島全地区における出荷者の生産した果実の現況が確認できる。複数の園地で生産する農家は、園地別の果実品質分析も可能という。
このほか、出荷者と所属地区平均の等級割合が比較できる円グラフや営農指導員のコメント、アドバイスも紹介。2016年度以前から選果場へ出荷している農家は、処方箋で分析している5項目の年度別データも提供している。
21年度に島内5市町村が足並みをそろえて選果場利用料の助成事業を開始したこともあり、同年度は裏年だったものの委託選果は前年度比約20トン増の138・701トンと大幅に増加した。だが、共販分を含めた選果実績をみると、13年2月に供用開始以降で最も利用数量が多かったのは16年度の289・8トン。生産農家の利用が伸び悩み、13年度、16年度を除き赤字運営が続いている。
奄美市の担当職員でもある浜田部会長は「果実のデータを所属地区や奄美大島全体の平均と比較することで、生産者は自分の技術を見直す機会になる。処方箋の提供で選果場の利用が増え、産地としての底上げにつながれば」と期待を寄せる。
JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹生産部会の大海部会長は「処方箋を生かすには、各地区を担当する営農指導員が生産者ごとに具体的な指導・助言を行う必要があり、営農指導員の分析能力も問われる。生産者と営農指導員をつなぐツールとして、継続的に取り組んでほしい」と述べた。
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