ウジルカンダの実、徳之島で確認 奄美群島でもまれ 動物が受粉助ける珍種

徳之島で確認されたウジルカンダの実(徳之島虹の会提供)
鹿児島県が絶滅危惧種に指定する植物「ウジルカンダ」(別名・イルカンダ)の実が14日、徳之島で確認された。奄美大島や沖永良部島では過去に結実が確認されたことがあるが、奄美群島でも極めて珍しいという。
東南アジアから九州まで分布するマメ科トビカズラ属の植物で、県のレッドリストでは絶滅の危険が増大している「絶滅危惧2類」に分類される。
琉球大学理学部海洋自然科学科の小林峻助教(35)によると、沖縄では2~5月にかけて開花するが、おしべとめしべが露出しないため自力では受粉できず、花の蜜を求める動物が花を開くことで受粉を助けている。
花を開くためには一定の力が必要なため、受粉に関わるのは昆虫や鳥ではなく哺乳類で、九州ではニホンザルやニホンテン、台湾ではリス、沖縄ではクビワオオコウモリなどが受粉に関わっているとされる。
今回、実を発見したのは伊仙町在住の徳崇光さん(68)。「さやの長さは長い物で約50センチ。ウジルカンダの花はよく目にしているが、実は見たことがなかったので最初はモダマかと思った」という。地元で自然保護活動などを行っている「徳之島虹の会」と共に確認を行い、ウジルカンダの実であることが分かった。
徳さんは「むやみに伐採されないように注意深く見守りたい」と話し、「知れば知るほど徳之島の自然には興味が湧く。世界自然遺産の島の価値を周囲に伝え、保護につなげたい」と力を込めた。
琉球大学の小林助教は「オオコウモリのような草食のコウモリがいない奄美大島、徳之島でなぜ結実できたのかは謎。島外からコウモリが飛来したのか、イルカンダが変異したのか、今まで知られていない動物が関わったのか。いずれにせよ非常に興味深い」と話した。
関連記事
帯広産ごろり「リアルメロンパン」 地元農家応援、名物商品に採用 はるこま..
帯広市内のパン店「はるこまベーカリー」(栗原民也代表、西19南5)は、帯広産の希少な青肉メロン「キングメルティー」を使用した「十勝リアルメロンパン」を7月末ごろまで販売している。富良野産の赤肉メ...
厳かに「火合わせ神事」 鳥海山頂の神火望見でき感激
鳥海山の山頂直下と7合目の御浜、遊佐町吹浦の西浜海岸、酒田市の宮海と飛島で一斉に火をたき、火の見え具合で農産物の作況を占う「御浜出(おはまいで)神事」が14日夜、厳かに執り行われた。 同町の鳥海...
課題発見、解決へアイデア 「日本一学生が活躍するまちづくりワークショップ..
奨学金制度改善や医学生の相談室 学生と宇部市が協働して市の事業を企画、提案する「日本一学生が活躍するまちづくりワークショップ」の第7回が16日、市役所で開かれた。学生は個人またはグループで...
マンゴーの季節到来 収穫期迎え出発式 徳之島天城町
鹿児島県徳之島の天城町熱帯果樹生産組合(作山和久組合長)が主催するマンゴー出発式が16日、同町大津川の果樹園であった。同組合によると、2025年産は開花期の受粉の不良で小玉傾向にあり、生産量は...