全国郷土紙連合

全国11新聞社加盟kyodoshi.com

北海道から沖縄県石垣島まで、南北に長い日本列島。今日もどこかでホットなニュースが生まれる。

離れて奄美を思う 沖縄奄美連合会の奥田会長 島唄を支えに

離れて奄美を思う 沖縄奄美連合会の奥田会長 島唄を支えに

 身震いがし、涙があふれた。  那覇で開かれた奄美民謡大会で島唄を耳にした日のこと。奥田末吉さん(78)=糸満市、鹿児島県龍郷町出身=は衝撃を覚えた。懐かしい三味線の音色と哀愁を帯びた声に鳥肌が立った。

 自衛隊の先遣隊として沖縄に移駐し、同郷の先輩と出会う機会が増え、沖縄奄美連合会の事業にも関わるようになっていたころだった。沖縄に来て初めて耳にした島唄。短い歌詞に込められた圧政に耐える奄美の先人の思い。嘆き。叫び。どうにもならないもどかしさ―。一度奄美を離れたからこそ気付いた奥深さだった。

 沖縄本島で島唄を教えてくれる奄美出身者を探し、通い詰めた。歌えるようになると、ボランティアでいろんな施設を慰問した。聴衆は沖縄の人のはずなのに涙を流す人々がいる。聞けば奄美の出身者だった。「歌詞や分からんば、節くゎが懐かしくてぃや(歌詞は分からないが、メロディーが懐かしくて)」と頬を拭った。

 沖縄の日本復帰当時、沖縄にいた奄美出身者が一番求めているのが島唄であり、シマユムタ(奄美方言)の響きなのだと気付いた。

 「出身者のためにも、沖縄の人に奄美に目を向けてもらうためにも、郷愁を誘うイベントを増やしたい」。連合会で数々の民謡大会を催した。会場には聴く機会に飢えていた多くの高齢出身者が訪れ、涙を流していた。

 奄美の日本復帰から沖縄の日本復帰までの19年間。先人たちが奄美に対する感情をいかに抑えてきたのかを目の当たりにした。出自を隠して生き、沖縄の復帰を経てもなお、生まれ島のことを語るに語れない人々がいる。追い始めた先人たちの足跡。その先で見えてきた出身者の「無言の歴史」のやるせなさ。事情が分かるようになるにつれ、胸が締め付けられた。

 今年、沖縄暮らしも50年となった。沖縄で決まってうたうのが「ヨイスラ節」だ。

 わんやくぬ島に/親兄弟(うやはろじ)おらぬ/わん愛(かな)しゃしゅん人(ちゅ)どぅ/親兄弟(うやはろじ)  (島を離れて遠い親戚よりも身近な友達が親兄弟以上です)

 自衛官出身では珍しかったPTA会長を務め、糸満市民の支持を得て糸満市議会議員も1期務めた。中には「どうせいつか奄美に帰るんだろう」という気持ちで見てくる沖縄の人もいた。大事にしたのは「自分もウチナーンチュ(沖縄人)なんだ」という気持ち。やがて出会いにも恵まれ、親しくなった沖縄の先輩から「戦後は奄美の人のおかげで生き延びられたんだよ」と激励されることもあった。

 連合会長として、シマサバクリ(奄美に関することへのお世話)に余念がない。奄美で大きな災害やイベントがあればすぐに義援金や寄付を送る。胸にあるのはふるさとへの感謝の念だ。「これだけの自然、伝統文化をつないできてくれた先人への感謝。島に住んでくれて、守ってくれている人への感謝」

 島を離れ、自分たちは何もできない。けれども何か手伝えることがあるなら。そう思い奄美と沖縄の懸け橋になっている。

関連記事

荘内日報社

綱のし神事で祝う 改築「蔵SHOP」に掲げる 竹の露酒造場

 大みそかから元旦にかけて鶴岡市羽黒町の出羽三山神社で行われた松例祭で、地区の若衆が担いだ引き綱を奉納する「綱のし神事」が14日、羽黒地域の酒造会社、竹の露酒造場で行われた。竹の露では昨年、築370年の...

「特殊詐欺に注意」カード風ポスター 帯広署研修中の落合巡査制作

 帯広署で実務研修中の道警の落合七菜華(ななか)巡査(23)が、特殊詐欺への注意を呼び掛けるポスター「『トクシュサギ』という名のツル」を制作した。落合さんは「詐欺の手口は新しいものが出てきている。...

宇部日報社

バス運転士が不足 路線維持に苦慮、便数少ない徳地では親が防府や周南に通う高..

 全国的にバス運転士が不足する中、山口市内の一部地域でも問題が生じつつある。市は採用助成金の創設や就職説明会の開催などで人員確保、路線維持に努めているが、働き方改革に伴う2024年問題、バス会社...

元ドラゴンズ投手・岩瀬さんがプロ野球殿堂入り

 今年の殿堂入りのプレーヤー表彰が16日発表され、愛知大学野球部出身で中日ドラゴンズ元投手の岩瀬仁紀さん(50)がオリックス、マリナーズで活躍したイチローさん(51)とともに選ばれた。大学、社会人時代で...

加盟新聞社

カテゴリー一覧

アーカイブ一覧

アクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス

関連リンク