看護師の川田さん 悩みを抱える 家族サポート 胆振初のキャンナス誕生
苫小牧市や白老町の高齢者、障害者の在宅生活を看護師の立場から支援する訪問ボランティアの組織「CANNUS(キャンナス)苫小牧・白老」が先月、発足した。立ち上げたのは市内在住の看護師川田幸香さん(37)で買い物や病院への同行、食事の用意や介助、一時退院の付き添いといった活動を想定。介護や医療の制度だけではカバーし切れない課題に目を向け、安心して暮らし続けられる地域づくりを目指す。胆振管内でのキャンナス発足は初めて。

キャンナス苫小牧・白老を設立した川田さん
市内の訪問看護事業所で訪問看護師として働く傍ら、健康相談などを手掛ける「コミュニティナース」として活動する川田さんは仕事やボランティアを通じ、介護を必要とする人や悩みを抱える家族らと向き合う中で、介護保険や医療保険の制度だけではカバーできない場面に直面。
「以前、孫に食べさせてもらったファストフード店のハンバーガーをもう一度食べたい」と願う高齢者や「親を病院に連れて行くために仕事を丸1日休まなければならない」「インスリン注射が必要な親のため、旅行に行っても朝一番で帰らなければならない」といった地域住民の悩みに触れながら、どうすることもできないもどかしさを抱えてきたという。
「ただ話を聞くだけではなく、直接力になりたい」と3月14日、キャンナス苫小牧・白老を設立。現在は川田さん1人で活動している。
看護師としての専門性を発揮した支援のみならず、食品スーパーなどへの買い物同行や温泉入浴の介助、介護を一休みしたい人のリフレッシュサポートなども想定。料金は、1時間1500円(看護に関わる利用は同2000円)とした。
現在、川田さんは「離れて暮らす両親に温かい焼き魚を食べさせたい」という家族の依頼に対応。市内の高齢夫婦の自宅を定期的に訪れている。
この世帯は、掃除や洗濯で介護保険の利用がサービス支給限度額に到達。家族は「親に好物を食べさせたいと願うことがぜいたくなのだろうか」と思い悩んできただけに、新たなサービスを心から喜んでいるという。
川田さんは「白老や苫小牧でも高齢化が進み、自宅で暮らす高齢者に介護保険サービスが行き届かなくなる懸念が高まっている」と指摘。「自分1人の力はとても小さいけど、高齢になっても好きな事が続けられ、潤いのある生活を送れるよう力を尽くしていきたい」と意気込む。
キャンナスは看護の専門知識を生かし、家族に代わって高齢者らの在宅生活を支えたい―と願う看護師有志の全国組織。神奈川県に本部を置き、全国約150カ所で活動している。
支援内容に応じた料金が掛かるが、介護保険制度と異なり頻度、時間などに制約はなく、困ったとき、すぐに利用できる自由度の高さが特長。
活動に関する問い合わせはキャンナス苫小牧・白老 携帯電話090(5228)6349。
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