庄内産ブランド力高め 観光誘客と収益アップを
酒田市と県漁業協同組合、県の関係団体は、生きたイカの流通を目指す「活イカ」の実証実験を行っている。庄内産イカのブランド力を高め、観光客の誘客と漁師の収益アップを図ることが狙い。居酒屋などの飲食店で活イカの生け造りを提供し「庄内浜のうまいイカ」をアピールしたい考えだ。
活イカの漁獲から流通するまで庄内版のモデルをつくろうと取り組みを始めた。昨年12月、流通に向けたスルメイカの蓄養試験を実施。1トンの海水が入る循環式の水槽に生きたスルメイカを10杯入れ、どれくらい生きるか調べた。
昨年12月に酒田港で行われたイカの蓄養実験=県水産研究所提供
その結果、すべて2日間生存し、最長で7日間生きたイカもいた。活魚箱に入れて酒田市内の飲食店にサンプル提供したところ、顧客から「イカ刺しに透明感があっていい」「コリコリとした歯応えがあって、とてもおいしかった」と高い評価を受けた。店側からも活イカの流通技術が確立されれば「実際に利用したい」と好感触を得た。
活イカは漁師が庄内浜の沖合で漁獲し、市場に設けられた水槽でいったん蓄養。その後、活魚箱または海水を入れたビニール袋にイカを入れて飲食店へ運び、店内の水槽に移す。そして生け造りにして客に提供し、新鮮さを楽しんでもらう。今のところ、地元庄内の飲食店で消費することを考えている。
課題の一つは最初に市場で蓄養する水槽の適切な規模や構造をどのようにするか。昨年暮れの活イカ実験では、しけ続きで漁ができず回数をこなせなかった。数量的にも1㌧の海水に対して10杯と少なく、イカを増やして入れた場合の生存率を調べることができなかった。飲食店への輸送手段も検討課題となっている。
県水産研究所資源利用部の五十嵐悠研究員は「市場の水槽で安定的に蓄養し、飲食店に届ける技術を確立することが当面の課題。今年も引き続き蓄養の実証実験を重ねたい」と話す。早ければ今月中にも実験を再開する予定だ。
活イカを提案した酒田市農林水産部は「昨年、検討会としてスタートしたばかりで課題は多いが、6月からのスルメイカ、秋にかけてのアオリイカ、冬から春にかけてのヤリイカなど一年を通して流通することが目標。先進地の成功事例を視察研修し蓄養、輸送、調理方法と一貫した技術を学びたい」と話す。今後は北海道函館市や山口県萩市須佐などを候補地に視察を予定する。
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