アカマツ遺伝子を後世に 増殖技術で苗木づくり 白老仙台藩陣屋跡
白老町教育委員会は、国指定史跡「白老仙台藩陣屋跡」に1本だけ残る樹齢160年超のアカマツの遺伝子を後世につなぐため、研究機関の増殖技術で苗木をつくる事業を計画している。道内最古とされるこのアカマツは、幕末に仙台藩が郷里から白老へ持ち込み、北方警備拠点の元陣屋に植えた歴史的価値の高い巨木。町教委は増殖事業を2022年度に着手し、「増やした苗木を陣屋跡に移植し、往時の姿を復元したい」としている。
白老仙台藩陣屋跡に立つ樹齢160年以上のアカマツ
幕末の1856(安政3)年、蝦夷地防衛の白老元陣屋を築いた仙台藩は、故郷の風景を再現するため、仙台からアカマツの苗木数百本を運び、陣屋内や海岸の会所につながる道沿いに移植した。戊辰戦争が起きた68(慶応4)年、白老元陣屋の歴史は幕を閉じ、陣屋跡や周辺のアカマツも燃料用などとして切られたり、枯死したりして次々と無くなった。記録によれば、1930(昭和5)年に11本残っていたものの、54(昭和29)年の洞爺丸台風で7本が倒壊。平成に入ってから3本が胴枯れ病で倒れ、現在、高さ20メートル、幹回り約3メートルの1本だけが陣屋跡の長屋跡付近に残っている。
アカマツの寿命は長くて200年程度とされる中、町教委は歴史の生き証人とも言えるアカマツの遺伝子を後世に残すため、国立研究開発法人森林総合研究所林木育種センター(江別市)に依頼し、苗木をつくる事業を計画。今年秋以降、同センターが高所作業車で陣屋跡のアカマツの枝葉を採取。増殖技術で20本程度の苗木をつくり、3年間ほどかけて育成した後、白老町へ戻す。町教委は、里帰りした苗木を陣屋跡に設けた苗畑でさらに数年かけて育て、高さ1・5メートルほどになった頃、仙台藩がアカマツを植栽した場所付近に移植する。
同センターの技術を活用した増殖事業は、2006~11年度にかけても実施したが、陣屋跡に移植した苗木がエゾシカの食害に遭うなどして育たなかった。このため、再チャレンジに臨む町教委・仙台藩白老元陣屋資料館の武永真館長は「移植までに5、6年かかるが、北海道や白老の歴史を伝えるアカマツの遺伝子を末永く保存したい」と言う。現存木の保護に関わる同資料館友の会の川西政幸会長も「ぜひ成功してほしい」と期待。同会が資料館や駅北観光インフォメーションセンターで販売している菓子「赤松」の益金を町に寄付して、今回の事業に活用してもらう予定という。
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