黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)の「太夫振舞(たゆうぶるまい)」が13日、酒田市黒森の黒森日枝神社で行われた。冷水を浴び体を清めた地区の青年役者が神前でくじを引き、来年2月の正月公演の演目を「昔談柄三荘太夫(むかしがたりさんしょうだゆう)」に決めた。

神社境内で冷水を浴び、身を清める佐藤さん(中央)
黒森歌舞伎は約280年前から地区住民による妻堂連中(五十嵐良弥座長)が、地区の鎮守・黒森日枝神社の神事の一環として受け継いできた。年間を通じてさまざまな行事があり、太夫振舞はその最初のもの。氏子や妻堂連中の関係者が集まり、神撰(しんせん)の儀で「神意」によって来年の演目を決める。昨年はコロナ禍のため中止となり、2年ぶりとなった今年、くじを引く「撰者」に選ばれた青年役者は、酒田西高3年の佐藤太一さん(18)。肉や魚、卵を断って精進潔斎してこの日に臨んだ。
佐藤さんはこの日午前11時から神社で祈祷を受けた後、下履き姿で社殿を出て、境内の井戸に向かった。白装束の世話人から白布で背中、胸を乾布摩擦してもらった後、こもの上にあぐらをかいた。手おけにくんだ井戸水を「ひとーつ」「ふたーつ」と数えながら7杯半、白布をかぶった佐藤さんの頭上から浴びせた。周囲から「がんばれー」の声援が飛んだ。
社殿に戻った佐藤さんは神前に正座。竹ひごの先に付けたこよりで、一升ますの米の上に置かれた演目候補のくじ3枚から1枚をつり上げ、脇にいた五十嵐座長の手に収めた。
「安寿と厨子王」として知られる「―三荘太夫」は、現在では黒森歌舞伎のみに伝わる演目。五十嵐座長によると、2003年以来の上演という。4月から仙台市内の大学に進学する佐藤さんは「無事に選ぶことができて安心した。進学するが、これからも黒森歌舞伎の舞台に立ち続けたい」と話した。
一方、延期となっている今年の正月公演は、新型コロナウイルスの感染状況を鑑みながら春か秋に奉納上演する方針。

こよりで演目候補が書かれた紙をつり上げる佐藤さん
関連記事
最後の100人を抽選 地元勢は91人出場へ 第40回トライ大会 出場全選手1510人..
第40回全日本トライアスロン宮古島大会の出場者を決定する選手抽選会が11日、市役所で行われ、大会長の嘉数登市長らが抽選で最後の100人を選んだ。事前にコンピューターで選抜された1410人と合わせて、...
JR愛知御津駅に「ザ・ロイヤルエクスプレス」停車 ホームは臨時の物産展に
豊川市のJR愛知御津駅で9日、県内を運行する臨時観光列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」の停車に合わせ、豊橋市などJR沿線5市の関係者らが特産品のPRコーナーを設けた。乗客らは地場食材を試食したり、...
3コース1763人が完走 宮古島市17ENDハーフマラソン 地元女子谷中V2、男子下..
「スカイマークプレゼンツ第4回宮古島市17ENDハーフマラソンin伊良部島」(主催・市、市教育委員会)が9日、伊良部平成の森公園を発着点に行われた。Aコースに898人、Bコースに543人、Cコース...
子の幸福度上げよう 県私保連まつり いらみなぜんこさん講演
子供たちの健やかな成長のために広く県民と共に真剣に考える機会にしようと、第20回私保連まつりin宮古島市(主催・県私立保育園連盟)が8日、宮古島市未来創造センターで行われた。フリーアナウンサーで、...

