ロシア軍侵攻 「戦いやめて」 ウクライナ出身女性が悲痛な訴え

ウクライナの青いパスポートとスマートフォンが母国と家族をつなぐ。女性は早期の停戦を願っている
ロシア軍のウクライナ侵攻で両軍の戦闘が激化する中、長野県諏訪地方に住むウクライナ出身の女性が27日、長野日報社の取材に「ウクライナ人もロシア人もどっちも切ない思いをしている。今すぐ戦いをやめてほしい」と語った。母国にいる家族や友人を思い、早期停戦を呼び掛けるよう国際社会に協力を求めた。
「ロシアの友人は私の家族を心配してくれている。ロシアもウクライナも関係なく同じ兄弟という意識で生きてきた。戦闘が長引いて犠牲者が増えると、憎しみが募ってしまう。私たちの関係も引き裂かれてしまうでしょう」
不安な表情でこう語るのは、ウクライナ南部に位置するヘルソン州出身の30代女性。ウクライナで知り合った日本人男性と結婚し、2005年に来日し、永住権を取得。会社員として働きながら、夫と中学生の長女と3人で暮らす。友人への配慮から匿名を条件に取材に応じた。
女性の母親は、クリミア半島近くのヘルソン州で一人暮らし。州内を流れる大河「ドニエプル川」の橋を巡る攻防で死傷者が出ているが、母親が住む田舎町への軍事侵攻はないという。インターネット電話「スカイプ」で連絡を取り合っていて、母親は「テレビやラジオは切なくなるから見ていないが、いつでも逃げられるように近所の人と準備をしている」という。
ウクライナ東部は生活や考え方がロシアに近い。一方、西部にはウクライナ民族主義運動を唱える勢力がいる。女性は14年の「マイダン革命」以降の歴史を振り返りながら、両国の指導者を「どっちも悪い」と語った。軍事侵攻を始めたロシアのプーチン大統領を「やりすぎだ」と非難。ウクライナのゼレンスキー大統領への不信感もある。コメディアン時代、親ロシア派武装勢力が支配する東部ドネツク州の子どもに差別的な発言をした。笑いが起こった恐怖を今も覚えている。
いとこから届く動画は日ごとに深刻さを増す。道路にはがれきが散乱し、無数の弾痕が残る自動車の脇には死体が横たわり、亡くなった人の上を戦車が走る。嘘の情報が拡散し、家を監視する蛍光塗料も塗られた。いとこ夫婦は交代で寝ながら危機に備える。18歳になったばかり友人のおいは徴兵される見込みだ。ロシア軍の戦車の前に立ちはだかる老人もいたという。
「おじいちゃん、おばあちゃんが『戦争はぜったいだめ』と話していた意味が分かる。もう人間じゃない。ロシアでもウクライナでもいい、早く戦いをやめてほしい」。日常生活が奪われていく現状に女性は語気を強めた。
関連記事
第三セクター解消、民間へ 町が財団法人脱退 白浜はまゆう病院
和歌山県白浜町は18日、赤字が問題になっている白浜はまゆう病院を運営する公益財団法人白浜医療福祉財団(理事長・大江康弘白浜町長)から脱退し、第三セクターを解消する意向を示した。今月末ごろに財団...
母校の姿を動画に 放送局の技術生かし製作 穂別高
2026年度で閉校するむかわ町穂別の穂別高校(福田敦校長)で、放送局に所属する3年生の横山咲衣さん(17)と光山潤心さん(17)は、同校の姿を残したいと動画を製作している。同町出身の2人は母校の...
3年ぶりライトアップ 国宝羽黒山五重塔
羽黒山中にそびえる国宝羽黒山五重塔のライトアップが18日、始まった。今月は21日までの4日間、午後7時―同9時まで行われる。 羽黒町観光協会など関係団体のメンバーで構成する実行委員会が8月のお盆や9月...
ギョーザ頬張り乾杯! 藤丸パークで初「フェスタ」 帯広
十勝の人気ギョーザ店が一堂に会する「十勝餃子(ギョーザ)フェスタ2025」(実行委員会主催)が18日、帯広市の藤丸パーク(西3南7)で始まった。十勝産食材を使ったギョーザやビールを楽しもうと...