日高川町に「ひずみ計」 南海トラフ地震予測目指す

長さ約6・5メートルの「ひずみ計」を深さ約600メートルの穴に設置する作業員(和歌山県日高川町和佐で)
近い将来の発生が予想されている南海トラフ地震の予測を目指し、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は22日、和歌山県日高川町和佐に「スロースリップ」と呼ばれる地殻活動を観測するための「ひずみ計」を設置した。国内17カ所目で、県内では2007年の田辺市本宮町三越、08年の串本町津荷に続いて3カ所目。
「ゆっくりすべり」とも呼ばれているスロースリップとは、地震によるプレートの滑り(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生する滑り現象。プレートの沈み込みとは逆方向に地殻が動くが、揺れはない。20年ほど前に発見され、巨大地震発生のメカニズムを解明する手掛かりになる可能性があるとして、世界で注目されている。
日本列島が乗る「陸側のプレート」(ユーラシアプレート)の下には「海側のプレート」(フィリピン海プレート)が、1年当たり5~8センチの速度で沈み込んでいる。その際、陸側のプレートが地下に引きずり込まれることで、ひずみが蓄積、限界に達して跳ね上がることで南海トラフ地震が発生する。
南海トラフでは、おおむね100~150年間隔で、マグニチュード8クラスの大規模地震が繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震=昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(46年)=が発生してから70年以上が経過していることから、次の地震発生時期が近づいていると予想されている。
南海トラフで巨大地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性がある。さらに隣接する広い地域で震度6強から6弱の強い揺れになり、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波が襲来すると想定されている。
この日、ひずみ計を設置した場所は南山スポーツ公園近くの土地。深さ約600メートル、直径約15センチの穴の中に、長さ約6・5メートル、直径約10センチのひずみ計を機械で下ろして設置した。工事は昨年7月から実施しており、3月中には完了する予定。約600メートルの穴の近くには、深さ約200メートルと約30メートルの穴も掘っており、それぞれの中に地殻活動を観測するための水位計と水温計を設置した。ここで観測した全てのデータは、即時に研究所に伝送されるほか、気象庁でも活用される。
ひずみ計の設置作業を見守った研究所地質調査総合センター活断層・火山研究部門主任研究員、板場智史さん(44)は「これまでの調査では、数日から1週間で数センチのスロースリップを観測している。まずは地下で起こっていることをより詳しく、細かく調査していき、南海トラフで起こる地震の予測につなげていければ」と話した。
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