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中原中也の詩「思ひ出」の舞台は宇部の可能性

 山口市出身の詩人、中原中也(1907~37年)が亡くなる前年の36年、文芸雑誌「文学界」8月号に発表した「思ひ出」。同市の中原中也記念館(中原豊館長)などが、詩の中でキーワードとなる「煉瓦(れんが)工場」を含めた情景が、大正から昭和にかけての宇部地域の海辺風景と合致すると考察している。中也は短い生涯に360編以上を詩作。研究者がこれまでほとんど触れなかった一編に光が当たる。     今の宇部の海辺をモデルにしたとされる「思ひ出」。昨秋、同記念館が関与する中也関連企画の打ち合わせで急浮上した。     中也の詩集「在りし日の歌」に収録され、14連56行で構成する長詩。国語の教科書に採用されている「一つのメルヘン」「サーカス」「汚れつちまつた悲しみに……」などに比べると、認知度は低いのが実情だ。     前半8連が、かつてれんが工場のあった岬を訪ねた時の記憶、後半は暗転して6連はその後、工場周辺が荒廃した現実を描いている。     中也記念館学芸担当課長補佐の池田誠さん(48)は「思ひ出」について、「岬の端に建つ煉瓦工場が時を経て変貌していった様子と、その様子を眺める『僕』の思いを重ねて、ルフラン(繰り返し)や擬人法を用いてうたっている」と解説する。     「思ひ出」に「煉瓦工場」は13回も登場する。「沖」が6回、「岬の端」が3回出てくる、まさに海辺の描写だ。3連目の「煉瓦干されて赫々(あかあか)していた」が、太陽光を利用し天日干しで作る桃色れんがをほうふつさせる。     桃色れんがは、宇部産独特の赤い石炭がら(石炭を燃やして残る灰)と石灰を混ぜ、焼成しないで生産する。今で言うリサイクル製品。石炭を産出した炭都宇部ならではの発想で生まれた炭鉱の副産物の一つで、硬くて湿気に強い。粘土などを混ぜて焼いて作る赤れんがと比べて安価だった。     同記念館は厚東棚井中出身の父親・柏村謙助(後に中原家の養子、1876~1928年)が、幼かった長男・中也を連れて、そのれんが工場のある海辺を歩いたかもしれないと言う。「思ひ出」の景色などの描写やその詩が生まれた年に二・二六事件が起きるなど、不穏な時代背景を加味すれば、詩と宇部の海辺風景が結び付いてくる。     池田さんは「固有名詞(宇部)こそ出てこないが、れんが工場跡を訪ねてそばの海を眺めると、『思ひ出』を読んで感じる空気、雰囲気に大変よく合っている気がした」と話した。

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