来年度打ち上げへ 民間ロケット「カイロス」 能代でモータ燃焼試験成功

能代ロケット実験場で実施した「カイロス」の第1段固体モータの燃焼試験(20日午後3時ごろ)
民間企業スペースワン(本社・東京都)が開発を進め、来年度の打ち上げを目指す小型衛星打ち上げロケット「カイロス」の第1段固体モータの大気地上燃焼試験が20日、能代市浅内のJAXA(宇宙航空研究開発機構)能代ロケット実験場で行われた。試験はJAXA宇宙科学研究所の共同で、風向きに悩まされたがデータも得られ、試験は成功。同実験場での民間開発ロケットの試験はカイロスが初ケースとなり、燃焼試験は6月の第3段モータに次いで2度目。
同社が開発を進めているカイロスは、全長約18㍍、代表直径1・35㍍、全備質量約23㌧の3段式ロケットに、軌道投入精度を高めるための液体ステージを追加したもので、太陽同期軌道に150㌔の小型衛星を投入する能力を持つ。同実験場を舞台に開発研究が進められていた日本の固体ロケットシステム技術を民間事業に応用するのは初めてで、当初は今年度中に打ち上げる予定だったが、来年度に延期した。
試験は、技術成果を共有し日本の固体モータ技術、試験技術の維持・発展につなげるため、同研究所と共同で行っている。今年6月30日には第3段モータの燃焼試験を実施した。
今回の第1段モータは実物大(全長約10㍍、推進薬量約15㌧、最大推力約70㌧)を使用し、燃焼推進特性や断熱材の特性、ノズルをアクチュエータで動かし姿勢制御を行うTVC機能などを検証した。TVC機能付き大型モータの開発は、強化型イプシロンロケット第2段モータ以来6年ぶり。点火には電気雷管ではなく、第3段モータの試験と同様に同研究所の研究成果であるレーザー点火システムを使用した。
この日の試験には同社と同研究所から約90人が参加。西風が吹いていたことから試験の実施時刻を遅らせて午後3時とし、作業は順調に進み、時間通りに点火。モータが設置された試験棟から炎と白煙が勢い良く吹き出し、周囲にごう音が響きわたった。
実験主任で同研究所の徳留真一郎准教授によると、詳しい状況はデータの検証を行わなければ分からないものの、燃焼の状況に問題はなく、TVC機能などの異常は報告されていないため、試験は成功したと言えるという。
徳留准教授は「われわれの使命の一つが、産業振興と研究の両立。今回の試験はその両方を満たすもので、JAXAにとっても技術の維持、発展につながり、後継者の育成という意味でも良い機会になった。ぜひ打ち上げを成功させてほしい。これからロケット開発に参入する民間企業が増えてくれれば、われわれも協力していきたい」と話していた。
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