世界遺産「白神山地」 入山の規制緩和求め要望書

提案書の内容を説明する佐藤さん(右、県庁で)
東北地方で自然保護活動に取り組む市民団体「白神逍遥(しょうよう)の会」などは29日、世界自然遺産・白神山地の核心地域(本県側)の入山規制の見直しを求める提案書を林野庁東北森林管理局(秋田市)と県自然保護課に提出した。核心地域は本県側が「原則入山禁止」、青森県側が「指定ルートを設定した届出制入山」と県境で違いが生じている。入山禁止の見直しが必要とする同会代表の佐藤昌明さん(66)=仙台市=は「このままでは核心地域の中を知る人の世代交代ができず、保護への気持ちもなくなってしまう」と語った。
白神山地は、原生的なブナ林の保存状態などが高く評価され、平成5年12月に屋久島(鹿児島県)とともに日本で初めての世界自然遺産に登録。秋田、青森両県にまたがる遺産地域1万6971㌶(うち本県側4344㌶)のうち、核心地域が1万139㌶(同2466㌶)、核心地域を取り囲む緩衝地域が6832㌶(同1878㌶)。
本県側の核心地域は、原生的環境への影響を防ぐため登山目的での入山が原則禁止されており、学術研究などの入山は国の許可を得る必要がある。一方、青森県側での登山による入山は「指定ルート」で届け出を行った上で可能。入山をめぐる対応は両県で違いがあり、これまでも自然保護団体を巻き込んだ論争となっていた。
提案書は、白神逍遥の会と、弘前市で自然保護に取り組む2団体の共同で提出。逍遥の会代表の佐藤さんは、今年3月まで河北新報社(本社・仙台市)の記者だった。青森県での勤務時から白神山地を取材してきたという。
佐藤さんは「青森と秋田で管理の仕方が異なるのはいびつな状況と言える」と指摘。本県側の入山規制により「核心地域の中を知る人がいなくなれば、遭難事故が発生した場合の対応が難しいといった問題が生じる」と話し、原則入山禁止の措置を長く取り続けることで、核心地域を知る人がいなくなるのは、白神山地の保全面でも問題であるとした。
また、都市部の山岳愛好者などには「白神山地全体で入山が規制されているような誤解を与えてしまう。青森県側と同じ『届出制』に移行する時期ではないか」と今回の提案に至った理由を説明。
同管理局と県庁を訪れ、それぞれ担当者に提案書を提出した。佐藤さんは、国や秋田、青森県などが白神山地の保全管理の在り方を協議する「世界遺産地域連絡会議」での検討を求めた。県自然保護課の澤田智志課長は「関係機関と連携して対応していく」と応じた。
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