県文化財、児童生徒が堂々の演舞 集落祭事さながらに「油井の豊年踊り」 瀬戸内町の油井小中

油井の豊年踊りの演目「ガットドン」を披露する児童生徒たち=10月31日、鹿児島県瀬戸内町の油井小中学校
鹿児島県瀬戸内町(大島郡)の油井小中学校(迫田智志校長)で10月31日、学習発表会があり、全校児童生徒7人で「油井の豊年踊り」を一部実演した。新型コロナウイルスの影響で集落の豊年祭が2年連続で中止となる中、同校の学習発表会は踊りを伝承する貴重な場となっている。児童生徒たちは自覚と誇りを胸に、集落祭事さながらの紙面(カミメン)と衣装を身にまとい、堂々と演舞を披露した。
油井の豊年踊りは、旧暦8月15日に行う伝統芸能で県の無形民俗文化財に指定されている。人々が引き合う綱を異形の者が切る「綱切り」に始まり、力士の土俵入り「振り出し」や収穫後の稲作業、シシを退治する「玉露カナ」、「八月踊り」など12演目で構成する。
同校学習発表会での豊年踊り披露は毎年恒例。今年は「稲刈り」と「稲すり」(脱穀)、老人が豊年祭の見物に行く「ヒゲフッシュ」、座頭が川を渡る「ガットドン」の4演目に挑戦した。演舞に伴う三味線、チヂン(太鼓)演奏や唄も児童生徒で分担した。
集落住民ら約40人が見守る中、児童生徒たちは元気に唄を歌い、演奏し、音楽に合わせて踊りを披露。つえを突く老人に長鎌持ちがいたずらする「ヒゲフッシュ」、座頭が酒に酔う「ガットドン」の一幕など、面白おかしな所作も忠実に再現した。
発表後、生徒代表は「コロナ禍で集落の豊年祭がなくなり、自分たちで継承する責任感が強まった」と話した。昨秋転入した生徒は初の豊年踊り。「面白い文化だけど演じるのは難しい。たくさん練習した」と振り返った。
児童生徒の演舞や楽器演奏は、油井豊年踊り保存会など集落住民が指導した。発表会を観覧した岡野弘明会長(68)は「少人数ながら堂々と披露する姿に感動した。見えない物を表現する無言劇も上手。来年こそは本物の豊年踊りを見せてあげたい」と語った。
岡野さんの孫で、集落の祭事に参加した経験を持つ中学生は、発表会で主要な踊り手を担った。「幼少期から父や祖父の踊りを見ていたので、所作は自然と身に付いた。油井にしかない豊年踊りは、将来まで残していきたい」と気持ちを新たにした。
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