与論の軽石漂着 観光に打撃 サービス休止の事業者も

観光スポット・大金久海岸の白砂を灰色に染めた軽石。一緒に漂着した漁網も回収する海謝美メンバー=28日、鹿児島県与論町麦屋(阿多さん提供)
小笠原諸島付近の海底火山が噴火した影響で大量の軽石が漂着している鹿児島県与論島で、観光産業への影響を懸念する声が広がっている。関係者は「海と砂浜がびっくりするほど灰色」「グラスボートなどを使った案内ができない」などと不安を口にしている。
町環境課によると、与論島では13日ごろから軽石の漂着が確認され、18日には島の全周に流れ着いたという。県はこれまで、軽石が詰まってエンジンがオーバーヒートするなどの漁船被害も同町で3件確認。漁業への影響も出ている。
ヨロン島観光協会によると、軽石の影響でグラスボート周遊などのサービス提供を休止している事業者もいるという。同協会の里山剛史事務局次長(35)は「観光事業者などがボランティアで除去作業を行っているが、どんどん軽石が漂着するので人力では追い付かない状態」と表情を曇らせ、「例年なら10月までマリンレジャーなどを楽しむ観光客は多いので、軽石漂着の観光への打撃は大きい。ここまでの量になってくると、長期的に影響が続くかもしれない」と話した。

コースタルリゾート近くの茶花港を埋め尽くした軽石=26日、鹿児島県与論町立長(阿多さん提供)
同町の皆田海岸を拠点にマリンレジャー業を展開する木村吉和さん(51)は軽石が大量に漂着している状況を見て「絶望的な景色だ」と肩を落とす。自主的に軽石除去作業を続けているが「ジェットスキーなど船は出航できない。少しでも軽石が減ればという思いで拾っている。がむしゃらに拾い続けていくしかない」と力を込めた。
早朝の海岸清掃に取り組んでいるボランティア団体「海謝美」(うんじゃみ)の阿多尚志会長(64)は「かき上げてすくうことはできても、人の手で運び出す作業は大変。仮置き場の設置や重機の導入など行政にも対応してもらいたい。行政、民間団体が一体となって回収作業を行えたら」と話していた。
町建設課によると、町は建設事業者を含む町内各種団体と島全域の海岸や漁港などの軽石を取り除く作業の準備を進めている。担当者は「島一丸となって軽石除去の取り組みを進めたい」と話した。
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