鶴岡市の庄内農業高校(加藤千恵校長、生徒149人)の女子生徒が、58年前から同校で作り続けている乳酸飲料「ニューピス」をリメークした。今月29日に行われる学校創立120周年の記念式典で「庄農伝統の乳酸飲料」を来賓に進呈する。
庄農伝統の乳酸飲料をリメークした押井さん(左)と白畑さん
「ニューピス」の加工実習は、1963(昭和38)年、庄農に赴任した斎藤実教諭(庄内町在住)が、生徒たちに生産・加工・販売を一貫して学ばせるために取り入れた。当時は校内で乳牛を飼育。牛の乳を乳酸飲料に仕上げて学校祭などで販売したという。
昨年の3年生4人が「ニューピスはどのように誕生したのか」を課題に歴史的な背景を調べた。それを引き継いだのが食品科学科3年生の押井穂果(ほのか)さんと白畑愛羅(あいら)さん。「アレンジしたニューピスを作ろう」と今年4月から加工を始めた。原料は脱脂粉乳、砂糖、乳酸、香料を使用。水に脱脂粉乳を溶かし、熱しながら殺菌するという作業を行った。
「山形で栽培されているフルーツの味にリニューアルしたニューピスにするのを一つのテーマにした」(2人)とラ・フランスやデラウエアなど6種類の香料を用意。さまざまな香料の種類を組み合わせたり、分量を変える作業を繰り返した。みんなから喜ばれる味にするため、試飲会とアンケートを取って率直な感想も求めた。
右往左往する中でようやく先月に入りマスカットとサクランボを香料にすることを決め、分量を調整。アンケートの中にあった「すっきりとした味わい」に近づけた。
押井さんは「頭の中で『ああでもない、こうでもない』とフレーバー(香料)の組み合わせと分量の調整が難しかった。何とか式典前に間に合って良かった」、白畑さんは「父親にも試飲してもらって感想を聞いたりした。出来栄えはまずまず」と笑顔をみせた。
「新ニューピス」は現在、220本(1本850ミリリットル・6カ月間保存可能)を作り大型の冷蔵庫に保存。記念式典で来賓と全校生徒に記念品として渡す。残った本数にもよるが藤島地域の産直施設「たわらや」で販売することも検討している。
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