疎開船「武州丸」の犠牲者慰霊 徳之島 コロナ下で規模縮小

慰霊碑に献花して祈りをささげる「平和の夕べ」の参加者=25日、徳之島町亀徳
太平洋戦争中に米軍潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没した疎開船「武州丸」の犠牲者を慰霊する「平和の夕べ」が25日、鹿児島県徳之島町亀徳のなごみの岬公園の慰霊碑前であった。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から規模を縮小して開催。島内の有志ら約20人が参加して恒久平和への誓いを新たにした。
武州丸と平和を考える会(幸多勝弘会長)が主催。同会と遺族会の共催で2010年まで慰霊祭が行われていたが、遺族の高齢化に伴い「平和の夕べ」に改称された。例年は島内の児童生徒も参加して平和の誓いを朗読するのが恒例だが、今年は新型コロナ感染拡大防止のため、児童生徒の出席を取りやめた。
島内の小中学生に武州丸の惨禍を紙芝居で伝える活動を続けている幸多会長だが、今年はコロナ禍で1回も実施できていないという。幸多会長は「戦争の残酷さを風化させないためにも語り継ぐことが大切。島内では武州丸以外にも多くの犠牲があった。高齢者からの聞き取りなど学校独自で平和教育に取り組んでほしい」と希望を述べた。
武州丸は本土に向けて航行中の1944年9月25日、十島村中之島沖で米軍潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没。徳之島町亀徳、井之川、山、尾母集落の学童や女性ら148人が犠牲になった。
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