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クルマエビのゲノム解読 養殖の効率化に期待 OIST

沖縄県の海面養殖業生産額の28%を占めるなど重要な水産物のクルマエビ(資料写真)

 東京海洋大学と沖縄科学技術大学院大学(OIST)などの研究チームがクルマエビのゲノム情報の概要を明らかにした。研究チームは「ゲノム情報はクルマエビの感染症防除法の開発や品種改良、資源評価の情報基盤として役立つと期待される」としている。日本時間の14日、米国遺伝学会が発行する学術誌の「Genes Genomes Genetics」でオンライン公開された。

 クルマエビは石垣島や竹富島でも養殖されており、沖縄県の海面養殖業生産額の28%を占めるなど重要な水産物となっているが、ウイルスや細菌など病原微生物による漁業被害に悩まされてきた。

 2020年10月には、大宜味村のエビ養殖場でクルマエビに近い種のバナメイエビが国内で初めて確認された特定疾病の急性肝膵臓壊死症(AHPND)で大量死し、県は「クルマエビでも発生する恐れがある」として新たな脅威に警戒感を強めている。

 同チームでは「感染症を予防するにはクルマエビが病原体と戦う仕組みの生体防御機構を理解することが重要」と指摘する。

 今回の研究は、次世代シーケンサーと呼ばれるDNA解析機器を使い、県産クルマエビのゲノム概要配列を得ることに成功。ゲノムの3割弱が単純反復配列というクルマエビ類以外ではほとんどみられない特徴を有することや存在が推定された2万6000個の遺伝子のうち7割弱の遺伝子の機能を予測できた。

 研究チームでは今後、遺伝子の働きや個体間の遺伝子配列の違いを詳細に解析することで「病気に強いエビをつくるための研究の加速や新品種をつくり出すゲノム育種、天然資源管理の高度化を進めるためのDNAマーカーの開発に役立つ」とさらなる研究の発展に期待を寄せる。

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